今さらですが、ISOマネジメントシステム規格における「上位構造(HLS:ハイレベルストラクチャー)」について、以下に簡単に整理しておきたいと思います。
《経緯》
2012年2月に、ISO/TMB(技術管理評議会)において、制定/改正される全てのISO マネジメントシステム規格(ISO MSS)が共通要素を採用して開発されることが義務付けられました。
つまり、全てのマネジメントシステム規格は、Annex SL・Appendix2の上位構造(HLS: High Level Structure)及び共通テキスト、共通用語・定義に基づき改正されるのです。
《マネジメントシステム規格(MSS)の改訂背景》
HLSなど共通要素を採用してISOマネジメントシステム規格が開発されることになった背景には、
「ISOマネジメントシステム認証制度への批判」
があります。
ISOマネジメントシステム認証制度における主な批判は、
・経営者の関与・参加が希薄である
・形式が重視され、成果に結びついていない
・認証のためのシステムと日常の業務システムの二重構造
・MSSの増殖と規格構造のバラツキ
などが挙げられます。
ISOマネジメントシステム規格にHLSなど共通要素が採用された背景は、私の認識では、上記に挙げた「ISOマネジメントシステム認証制度における主な批判」のうちの、
「MSSの増殖と規格構造のバラツキ」
が大きくなってきたことにあると思います。
ISOマネジメントシステム規格を採用している企業の多くは、ISO9001など単独のマネジメントシステムだけではなく、ISO14001やISO27001といった他のマネジメントシステム規格も採用しているケースが殆どです。
複数のマネジメントシステム規格を導入している組織サイドで考えると、マネジメントシステム規格の構造や用語の定義がバラバラでは、非常に使いにくいわけです。
また、規格の種類は違っても、基本的どの規格も「マネジメントシステム」ですから、規格固有の部分を除いて、基本構造が異なるのは不都合が生じます。
そこで、共通要素(共通テキスト)の最も重要な概念を揃えるために、
1)プロセスアプローチ
2)PDCAサイクル
3)リスクに基づく考え方
といった点を明確にしました。
マネジメントシステム規格を組織が利用する上での注意点をいくつか挙げておきます。
《注意点1:マネジメントシステム規格を使いこなす》
・マネジメントシステム規格は、仕事のあり方や今後の方向性を考える「道具」
・なぜ、規格を導入し、認証が必要なのか認識しておく
・組織の事業プロセス=規格要素として実態を適用させる
・組織のマネジメントシステムを多面的かつ俯瞰的に捉える
《注意点2:欧米が発祥のマネジメントシステムの特質を知る》
・欧米人の世界観を理解
・「階層的」に見る欧米と「水平的」に見る日本
《注意点3:ISO規格の特徴を知る》
・対象:業種・業態・規模を問わず、全ての組織に適用できる
・どんな業界にも偏らない汎用的な表記が用いられている
・What(組織に適用すべきこと)を具体化し、How to(どのように) 実施するかを考える
《注意点4:文書作成は目的ではなく、手段》
・規格の適用・システム構築を通じて部門間・担当間の認識をすり合わせる
・規格の用語は、社内の用語に置き換えて利用してもよい
・規格の箇条の構成通りに文書化しなくてもよい
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ624号より)
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