2019年1月14日付の東洋経済が、
「アルペン、突然300人リストラに至った裏事情」
と題した記事を報じていました。
記事によれば、
(以下、記事より引用)
・「スポーツデポ」「アルペン」「ゴルフ5」などのスポーツ用品店を展開するアルペンが1月9日、45~64歳未満の社員を対象に、社員の約1割に相当する300名程度の希望退職者を募集すると発表した
・アルペンと言えば、1972年に名古屋市でスキーのプロショップとして設立以降、スキーブームともに成長してきた
・現状、スキーやスノーボードなどウィンタースポーツ用品のグループ全体の売り上げに占める割合は5%未満。過半を占めるのは、野球、サッカー、スポーツアパレル、アウトドアなど一般スポーツ用品
・アウトドア関連は好調ながら、野球やサッカー、テニスなどの競技スポーツはここ数年、中学や高校の部活に参加する学生が減少し、市場が縮小している
・ネット販売との競争で値引き販売が常態化。2018年は販売ピーク期である夏場に猛暑や豪雨、台風などの自然災害が重なったことで、レジャー関連用品の需要が低下し、業績悪化に拍車をかけた。直近2018年7~9月期の決算は、2006年の上場来初の赤字に転落した
・アルペンは創業当初から自社商品の開発に取り組み、ウィンタースポーツ用品では「キスマーク」や「ハート」、ゴルフウエアの「コラッジオ」、競技スポーツ用品からスポーツカジュアルウエアの「イグニオ」など11のブランドを展開。スポーツメーカーの商品と比べて低価格でありながら、品質にこだわった競争力のある商品で利益を稼いできた。
・しかし、ユニクロや、作業服のワークマンなどが高機能、低価格のスポーツウエアやアウトドア商品を展開し人気となっている
・5年ほど前まで、アルペンの売り上げの約3割を占めてきた利益率の高い自社ブランド商品は直近、2割程度にまで落ち込み、2013年度117億円だった営業利益は2018年度30億円と、上場来の最低水準にまで収益力は悪化している
(以上、記事より引用)
要は、ざっくり言ってしまえば、アルペンの現状は、
・ウインタースポーツ商品で創業したが今ではスポーツ用品全般、アウトドア商品を扱う店舗
・少子化と中高生の部活離れで競技スポーツ用品は、落ち込んでいる
・スポーツウエアやアウトドアウエアは、カジュアル、作業着メーカーも参入し競争が激化
・ネット販売との競争で利益率が低下
ということなのです。
「少子化による売り上げ減少」、「商品のボーダレス化」、「ネット販売の拡大による価格競争」
という課題は、アルペンのようなスポーツ、アウトドア商品業界に限らず、多くの店舗業態が抱える共通の課題でしょう。
実際、私自身も、かつては、アルペンやスポーツデポにはよく訪問していました。
しかし、「明日使いたい」という緊急性が無ければ、最近では、ネットで少しでも安い商品を探して購入しています。
近所の店舗が無くなると「不便だなぁ」と口に出していってしまいますが、その原因を作っているのは私たち消費者なんですよね。
ただ、アルペンの場合は、新たな試みとして、キャンプ用品専門店の「アルペンアウトドアーズ」やボルダリングやトレイルランニングなどを専門とした「アルペンマウンテンズ」に光明が差しているようなので、専門知識が豊富なスタッフに直接相談できる「リアル店舗の強み」を生かした顧客ニーズに合った新たな業態を市場に投入して、頑張るしかないのかもしれません。
要は、一般的な商品は、価格競争にどんどんさらされ、いわゆる「レッド・オーシャン市場」と化していってしまうのでしょう。
ただ、商品が専門化していくと、顧客ニーズには応えられ、一定の支持は得られますが、市場はある程度限られます。
つまり、ネットと競合する店舗商売は、昔のような安易な多店舗展開はリスクでしかないのかもしれません。
アルペングループのウェブサイトによれば、アルペン、ゴルフ5、スポーツデポの合計の店舗数は、2018年12月で、404店舗。2017年12月期は406店舗なので、数字上は微減ですが、社員を約1割減らすことから、不採算店舗の閉店、専門店舗の開発・出店を並行して進め、店舗総数は、減らしていくのかもしれませんね。
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