組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。
このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「認定された認証と非認定の認証」について。
今回のテーマでよく話題になるのが、
◆「ISO認証機関は、認定を持っている分野について、非認定の登録証を発行できるか」
です。
ISO認証制度をかじったことがある人なら常識ですが、ざっくり説明すると、ISO認証機関は、日本でいえば、JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)のような認定機関から、品質マネジメント、環境マネジメント・・・というように、マネジメントシステムの規格毎に認定を受けます。
また、その認定は、品質や環境でいえば、39に分類された産業分野毎に認定される仕組みになっています。
たまごが先か、ニワトリが先か的な問題ですが、ISO認証機関が、設立された段階では、認定を持っている機関から事業継承など特別な事情で機関を設立しない限り、認定は持っていません。
つまり、認定が無い段階で、組織審査をすれば、当然、「非認定の登録証」が発行されます。
この「非認定の登録証」というのは、見分け方としては、登録証に、認証機関のロゴマークのみが表記されている登録証です。
認証機関が、JABやUKAS(英国)、ANAB(米国)などの認定を受けていれば、登録証には、認証機関のロゴマークと認定機関のロゴマークが表記されます。
認証機関が、認定機関から産業分類毎の認定を受けるのは、原則、「実績主義」ですので、例えば、「産業分類28:建設」であれば、事務所審査で当該分野の審査手順や能力があることを確認するのはもちろんのこと、産業分類28の組織審査立会いを経て、認定が授与されます。
認定が授与されれば、過去の審査に影響を与える指摘が出ない限り、基本的には、「非認定登録証」として発行されていた登録証は、「認定登録証」として(つまり、認証機関のロゴマークと認定機関のロゴマークが表記された登録証)差し替えられます。
ただ、一般的には、認証機関が、認定されると、認証組織に対して、登録維持料等の名目に含まれた形で、認証審査費用に加えて、認定登録料も若干ですが、プラスして支払うことになります。
そこで、以前は、レアケースですが、「うちは、非認定の登録証でいい」という組織があり、認証機関が認定を持っていても、「非認定の登録証」を発行するケースがあったのです。
しかし、結論から言えば、「2019年11月6日以降」は、このような「認定を持っているのに非認定の登録証を発行すること」はできません。
この問題の背景は、
◆認定された認証と、非認定の認証の双方が出回っていることは、市場の混乱を招く
◆非認定の認証が市場に氾濫することで、第三者認証制度の信頼性が損なわれる
という観点から、
「IAFメンバー(例:JAB、UKAS、ANABなど)は認定範囲における非認定の認証を認めるべきではない」
ということになったようです。
余談ですが、もともと、この「非認定登録証」については、日本の認証機関の場合は、そういった事例を聞いたことはありませんが、海外では、認定を持っている分野にもかかわらず、認定された認証手順にしたがわない認証プロセス審査を実施して「非認定の登録証」を発行する事例がかなりあったようです。
例えば、良くないですが、例えば、文科省から認定された大学(事例として、卒業したラ文学士の学位が与えられるとする)が、認定された手順を無視したカリキュラムで授業を行い「名誉文学士」を発行するようなものです。
このようなケースは、確かに、市場に対して混乱と信頼性低下を招くでしょう。
少々ややこしいのが、
「組織の適用範囲の一部が認定されていて、一部が認定されていないケース」
です。
具体的事例としては、「分野28:建設」は認定分野、「分野29:卸売・小売」は非認定分野の場合、適用範囲が、
「土木構造物及び建築構造物の設計、施工及び建設資材の販売」
という組織審査をした場合です。
このケースは、登録証を認定と非認定で分けて発行すれば問題ありません。
つまり、
「土木構造物及び建築構造物の設計、施工」(認定登録証)
「建設資材の販売」(非認定登録証)
です。
ただ、「分野18:機械装置」は認定分野、「分野19:電気的・光学的装置」は非認定分野で、組織の適用製品が「機械装置でもあり、電気装置でもある」ようば場合、上記例にようには、「製品が分けられない」ケースが生じます。
この場合は、「非認定分野を拡大しなければ、登録証が発行できない」ということになります。
そもそも、世の中の産業は、産業の複合領域で成り立っているものも多々あり、認定区分を「39の産業分類」で実施していることが、ナンセンスな部分もあるかもしれません。
ただ、現状の認定に認証制度上は仕方がありませんので、認証機関はもちろん、これから受審を考えている組織は、このあたりの事情を理解しておく必要があるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ611号より)
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