多くのメディアが報じたように、日産自動車は、11月22日に開催された取締役会で、カルロス・ゴーン氏の会長職を解くとともに、ルノーとの提携の維持を確認したそうです。
ただ、実際には、「水面下では提携関係の見直しが進んでいる」そうです。
取締役会の決定をニュースで聞いて、少々驚いたのは、逮捕されたゴーン氏とグレッグ・ケリー氏以外の出席した7人の取締役がゴーン氏の会長職解職を全会一致で決めたことです。
日産の取締役は、9人おり、構成としては、日本人5人、外国人4人で、内部外部で分けると、内部からの取締役が6人、社外取締役が3人です。
別の切り口で見ると、ルノー側が送り込んだ取締役は、ゴーン氏を含めて3人いますので、出席7人の内、2人は、「ルノーのご意向に沿った議決」をするはずです。
ゴーン氏逮捕翌日の11月20日に、ルノーでは、ゴーン氏の続投が決められていたので、当然、少なくともルノー側取締役2人は「会長職解職議案に反対」をするはずです。
しかし、「解職やむなし」の判断をしたということは、ゴーン氏の不正が、客観的に見て、想像以上に酷く、逆にこの状況で解職に反対すれば、「取締役としての機能を果たしていない」との判断も働いたのかもしれません。
今回のゴーン氏逮捕については、
・ルノーに日産が飲み込まれないために、経産省、検察、日産3者共同の陰謀説
・完成車検査不正対応やゴーン氏の法外な報酬に対する日産側の怒り爆発説
などがきっかけ、とワイドショーや週刊誌が喜びそうな真相が隠されているのかもしれませんが、私の最大の関心事は、「こうした不祥事が起きないために必要な再発防止策は何か?」です。
まだ、しっかりと、日産の組織体制やマネジメントシステムを調べたわけではありませんが、
・取締役指名委員会の機能不全
・取締役報酬委員会の機能不全
・ルノー、日産、三菱自動車3社のアライアンス関係
・ゴーン氏がアライアンス3社の会長を務めていたことによる権力集中
・有価証券報告書の社内チェック体制の機能不全
・会計に関する内部監査と外部監査の機能不全
などについて、メスを入れる必要があることは間違いないでしょう。
それにしても、月並みですが、「アライアンスは永遠ではない」ということです。
提携(アライアンス)は、提携企業毎に「思惑」があり「メリットがある」から成り立つものです。
つまり、「メリット・デメリットのバランスを欠いた時」に、それが解消できなければ、一気に不満が爆発するわけです。
日産のケースは、
・ゴーン氏がルノーと日産のトップについていたこと
・ルノーが日産の株式を43%保有していること
から、「アライアンス解消」ということを日産はできませんでした。
しかし、日産がルノーの完全子会社であったら、「会社(日産)がヤバい時に支援してくれた恩人(ルノー)だけど、今は、俺たちの稼ぎも技術も吸い上げられているだけ」と不満を感じても、どうしようもなかったでしょう。
アライアンスが解消できる関係で、かつ、ゴーン氏の不正期間が限定的であれば、おそらく「ゴーン氏の不正が内部告発され逮捕」という事態にはならなかったのではないでしょうか。
あまりにも、長期間、トップに君臨し続けて、ガバナンスが利かなくなっていたことが、今回の問題であることに間違いはありません。
ただ「権力集中」や「長期政権」だけを「不祥事の原因」にしては、本質的ではありません。
前述したような、組織のマネジメントシステムについても、しっかり、メスを入れて欲しいものです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ621号より)
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