消費生活協同組合である「コープさっぽろ」が、北海道電力に損害賠償請求を請求するとの報道が10月上旬に各メディアで報じられていました。
10月7日付の北海道新聞の記事によれば、
◆食品廃棄による損害は9億6千万円に達している
◆取引先の企業、団体と連携し、北電に賠償請求の書面を送る
◆道内の流通大手がブラックアウトによる損害賠償請求に動くのは初めてとみられる
◆コープさっぽろは全道に展開する108店舗や物流センター、加工工場で、地震後に停電した
◆その結果、冷蔵・冷凍庫が使用できなくなり、損害は店舗分だけで約9億円に上った
◆コープさっぽろの大見英明理事長は「今回の停電は人災ともいえるものだ。その分は、電力会社に責任がある」として、北電への賠償請求が必要だと判断した
◆「大規模電力を一極集中させたことで事故リスクが高まった」と主張
◆損害賠償の請求を通じて、電源の分散化を求めるなど電力供給のあり方についても、問題提起したい考え
だということのようです。
個人的には、私もコラムを通じて、何度か発言していますが、今回の胆振東部地震における北海道内のブラックアウトは、「人災」あるいは、「運転管理など現場マネジメントの不備」の部分が多分にあると思います。
もちろん、
「地震や災害だから、北海道電力を責めたって始まらない」
「地震や災害にも耐えられる発電所を作り維持するとしたら、電力料金が何倍にもなる」
「コープさっぽろは、地震保険に入っておらず、自家発電などの体制も十分でなく自業自得」
といった考えもあります。
確かに、今回の苫東厚真発電所の損傷個所は、ボイラ管に集中しており、今回のような規模の地震では、発電所の配管系が、まったく無事であるということは、経済性を鑑みて技術上、まずありえません。
ただ、コープさっぽろが主張するように、
・大規模電力の一極集中に対するリスク
・需給バランスの負荷調整の観点から、各発電所が自動停止するまで運転管理
については、北海道電力に非があると思います。
この手の争いでは「当時の技術では想定しえるものではなかった」と逃げられてしまうことが多いですが、「電力共有の分散化」や「全道ブラックアウトを防ぐ運転管理」は、もう少し、対策が取れたはずです。
もしかしたら、北海道電力的には、「政府方針もあるし、いずれ、泊原発が稼働するから、それまでの辛抱だ」との読みもあったのかもしれません。
しかし、東日本大震災の北側(位置的には今回の胆振地区らしい)のエネルギーは抜けきっていないという地震学者も多くおり、リスクを考えれば、分散供給は最優先の経営課題だったはずで、何も議論さえされていなかったのなら「経営責任が問われる」可能性は否定できないでしょう。
おそらく、コープさっぽろも、「廃棄食材などすべての損害を支払え」というつもりはなく、「電力供給のあり方」についての提言という側面が強い訴えだと思います。
裁判が長期化するぐらいなら、和解案に応じるでしょうし、最終的な落としどころも例えば、実損害額の50%とか30%とか、ある程度、決めているのでしょう。
今後のこの裁判の行方に注目です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ615号より)
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