すでに、多くのメディアが報じていますが、油圧機器メーカー大手の「KYB株式会社」(旧社名カヤバ工業)と子会社による免震・制振装置のデータ改ざん問題が大きな問題へと発展しています。
KYB株式会社のウェブサイトは、アクセスが集中しているのか、いまだに、つながりにくい状態です。
各メディアが後追い報道を次々としていますが、10月19日付のテレビ朝日の報道によると、
「製品の性能検査は検査員1人の体制」
で実施されていたそうです。
この報道によると、
◆免震・制振装置を月に120本生産している
◆すべての性能検査を1人が行っていた
◆1人で検査する体制は、生産がKYBから子会社に移っても引き継がれていた
◆特定の従業員に任せていたことで、不正が長期化した疑いがある
◆KYBは19日午後に改ざんの疑いがある物件について、所有者らの了解が得られた建物の名前を公表する
◆自治体の庁舎や観光施設、病院などが中心で、マンションなどの民間住宅については今回は公表は見送られる見通し
だそうです。
気になるのは「検査員一人体制」です。
KYBのウェブサイトでは
「モノづくり企業の原点に立ち返り、KYBグループ総力を挙げて信頼回復に努める」
とあります。
しかし、
「検査員個人の問題で特殊なケース」
として、単純に処理されるとしたら問題です。
仕事のやり方、人員配置、社内体質・・・といった点について、この機会に総点検し直すべきです。
また、「民間住宅」は「資産価値の急落」が考えられるため公表を見送るのでしょうけれど、住民や購入希望者(契約直前)には、しっかりは公表して欲しいものです。
それにしても、KYBのオイルダンパーは、全国的に納入されていて、影響は相当出そうです。
スカイツリーのオイルダンパーもKYB製だそうで、こうした物件の強度上の問題となれば、大手企業のKYBといえども、吹っ飛んでしまうかもしれません。
また、JABのウェブサイトで確認すると、KYB系企業の認証登録は、かなりあります。
https://www.jab.or.jp/system/iso/search/
認証機関が、どのような調査をして、どのような対応(認証一時停止、取り消しなど)をするかについても、注目です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ616号より)
追記:
2018年10月19日の午後に、KYBは、不正や不正の疑いがある免震装置が使われている可能性があり、かつ、公表の了解が得られた公共性の高い国や自治体の施設70件の建物名を公表しました。
日経新聞の報道だと、この70件の建物には、2015年に発覚した東洋ゴム工業の免震装置の性能偽装でも被害に遭っていた施設があるそうです。
例えば、三重や高知の自治体庁舎など3施設は、東洋ゴム製の装置の交換を始めたばかりで関係者からは「また同じ被害に遭うとは」と嘆きの声が上がっているという。
被害者からは、「国を挙げて検査体制を見直すべきだ」と訴えているそうで、その想いは当然です。
公共施設の強度など安全面で影響が大きい建設資材について、検査体制を見直すとなると、例えば、工場での立会検査が考えられます。
ただ、この方法になると、発注者側の業務負荷が大きくなり大変です。
こういう事態に備えて「マネジメントシステムの認証制度」があるハズなのに、現状では、無力です。
これでは「マネジメントシステム認証制度不要論」が高まってもおかしくありません。
食品安全マネジメントシステム(FSSC22000)の世界では「非通知審査」が制度化され、認証サイクル(3年)の間に必ず実施することが要求事項となっています。
品質マネジメントシステム認証の場合も、こうした「被監査組織が緊張感を持つ制度」を導入しなければ、こうした品質不正の組織不祥事が起きるたびに、「ISOを持っている組織なのに。。。」という感覚になり信頼性をどんどん失墜させていく結果になっていると思います。
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