組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。
このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「マネジメントシステム認証の信頼性が高まるサンプリングとは何か」について。
今回のテーマでよく話題になるのが、
◆「認証の信頼性を高めるサンプリングとは、本来どうあるべきか」
です。
認定審査でよりどころとなる、認証機関に対する要求事項「マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項」(ISO/IEC 17021-1:2015)では、以下のような要求があります。
少々長くなりますが、関係箇所を以下に引用します。
(以下、規格の一部を引用)
9.1.3 審査プログラム
9.1.3.1 依頼者のマネジメントシステムが、選択した規格又はその他の規準文書の認証要求事項を満たしていることを、実証するために必要な審査活動を明確に特定した、認証周期全体に対する審査プログラムを策定しなければならない。
認証周期に対する審査プログラムは,全てのマネジメントシステム要求事項を網羅していなければならない。
9.1.3.2 分野固有の認証スキームによって特に規定されていない限り、初回の認証のための審査プログラムには、二段階で行う初回審査、認証決定後の1年目及び2年目に実施するサーベイランス審査、並びに認証の有効期限に先立って3年目に行う再認証審査を含めなければならない。この最初の3年の認証周期は、認証の決定から始まる。
それに続く周期は,再認証の決定から始まる。
審査プログラムの決定及びその後の調整では、実証したマネジメントシステムの有効性のレベル、及び以前に実施した全ての審査の結果に加え、依頼者の規模、そのマネジメントシステムの適用範囲及び複雑さ、並びに製品及びプロセスを考慮しなければならない。
9.6.2 サーベイランス活動
9.6.2.1 一般
9.6.2.1.1 認証機関は、マネジメントシステムの適用範囲に含まれる代表的分野及び機能が定期的に監視されるように、そのサーベイランス活動を開発しなければならない。
また、被認証組織及びそのマネジメントシステムに生じた変更を考慮しなければならない。
(引用ここまで)
引用が少々長くなりましたが、ポイントを集約すると、
『マネジメントシステムの有効性のレベル、及び以前に実施した全ての審査の結果に加え、依頼者の規模、そのマネジメントシステムの適用範囲及び複雑さ、並びに製品及びプロセスを考慮しなければならない』
『マネジメントシステムの適用範囲に含まれる代表的分野及び機能が定期的に監視されるように、そのサーベイランス活動を開発しなければならない』
という部分になると思います。
つまり、(私なりの大雑把な解釈ですが)
◆認証周期ですべての要求事項を確認することは当たり前
◆その上で、「MSの成熟レベル」「これまでの審査状況」「組織の規模」「組織のMSの範囲と複雑性」「製品及びプロセス」を考慮して審査プログラム(審査すべきところ)を計画すること
◆審査すべき箇所は、適用範囲の代表的分野と機能を含めること
ということになります。
私の感覚では、上記ポイントを、極めて明確に審査プログラムに組み込んでいる認証機関は、少ないと思います。
もちろん、認証機関は、厳しい「認定審査」をクリアしていますから、認証機関のマネジメントシステム上は、上記ポイントについて、文書化されたルールに一応はなっていると思います。
しかし、例えば「製品及びプロセスを考慮」とか「適用範囲の代表的分野と機能」とは、なんぞや?という点については、その組織を担当する主任審査員に任されているのが現状だと思います。
もう少し具体的に言えば、例えば、組織の適用範囲が「土木構造物の設計、施工」であった場合、「代表的分野」を「受注額」、「受注件数」、「施工件数」、「工事の難易度」、「施工品質要求が高い工事」、「施工不良や施工中の事故などリスクが高い工事」・・・など様々な捉え方があります。
「いったい何を代表分野」として、審査をすることが、市場からの認証の信頼を高めることになるのか、定義できていないと思います。
また、日本の場合、建設業法上は、「土木工事」「建築工事」「大工工事」「左官工事」「屋根工事」・・・など28業種に分かれています。
認証組織が、28業種すべてが対象になっていた場合、「土木工事」の業務比率が8割で、あとの業種は、たまに発生するレベル、だった場合、審査で「土木工事だけ」を常に審査していて、審査プログラムの考え方としては、大丈夫なのか?といった議論は、あまりなされていない気がします。
例示は、土木工事業ですが、製造業、サービス業含め、ありとあらゆる産業分野の認証審査において、審査日程上の都合もあり、「とりあえず、なんらかの製品(サービス)実現プロセスが確認できれば、仕組みの審査なんだからいいじゃないか」とされてきたのか、これまでの現状のように感じます。
より、認証審査の信頼性を向上させるために、各認証機関は、「認証の信頼性を高めるサンプリングとは、本来どうあるべきか」という点について、もっと議論を深めるべきだと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ610号より)
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