組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISOマネジメントシステム認証制度がある。
このISOマネジメントシステムについて、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「顧客又は外部提供者の所有物」について。
まず、ISO9001:2015(8.5.3顧客又は外部提供者の所有物)の要求事項を下記に引用します。
(以下引用)
組織は、顧客又は外部提供者の所有物について、それが組織の管理下にある間、又は組織がそれを使用している間は、注意を払わなければならない。
組織は、使用するため又は製品及びサービスに組み込むために提供された顧客又は外部提供者の所有物の識別、検証及び保護・防護を実施しなければならない。
顧客若しくは外部提供者の所有物を紛失若しくは損傷した場合、又は、その他これらが使用に適さないと判明した場合には、組織は、その旨を顧客又は外部提供者に報告し、発生した事柄について文書化した情報を保持しなければならない。
注記 顧客又は外部提供者の所有物には、材料、部品、道具、設備、顧客の施設、知的財産、個人情報などを含まれ得る。
(引用ここまで)
この要求事項は、2015年版の前の版(2008年版、2000年版、1994年版、1987年版)では「顧客支給品」、「顧客所有物」と呼ばれていた要求事項です。
2015年版からは、「組織が製品・サービスを実現するために使うものは、顧客所有のものだけに限らない」という意図が加わり「外部提供者」となったのでしょう。
意図としては、
「外部から与えられる、製品・サービスの実現の為に使うもの、組み込むものを管理し、問題があったら相手先に報告をしなさい」
という意味です。
「問題があったら報告してください」という要求事項になっているのは、所有権が組織にないため、修正や改善ができないからでしょう。
では、この要求事項に該当しそうな「所有物」を挙げてみます。
事例:
◆飲食店における顧客持ち込みの食材
◆病院における患者持ち込みの薬、手術後に切除した臓器等
◆建設業における顧客所有のインフラ(電気、水道、ガス、通信回線など)
◆旅行業におけるライセンス契約のない地図情報サービス
◆冠婚葬祭業における思い出写真・映像、故人の遺影
・・・
などなど、考えていけば、多種多様です。
ただ、実際問題としては、ISO規格の他の要求事項、例えば、「文書管理」や「インフラストラクチャー」、「測定機器の管理」で、「外部文書」や「管理対象設備、測定器」として管理されているケースが殆どです。
つまり、マネジメントシステム上の位置づけは「8.5.3顧客又は外部提供者の所有物」として位置づけられても、他の要求事項で管理されているケースが殆どかもしれません。
ISOマネジメントシステムを組織に適用させて第三者審査を受ける場合、基準認証制度なので「適用規格を組織の業務にどのように適用させているか」という点が焦点になります。
したがって、安易に「当組織には該当するものがない」と言い切るよりは「現在、該当するとしているものを挙げて管理方法を明確にしておく」方がマネジメントシステムの構築上は無難といえるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ593号より)
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