2018年6月29日付の時事通信社が、
「希望踏まえ、他社へ「留職」=社内改革で導入―パナソニック」
という見出し記事を報道していました。
この記事によると(以下、引用抜粋)
◆パナソニックは、社員が他社で一定期間働く「社外留職」制度を導入した
◆制度導入の狙いは社内の組織風土改革の一環
◆社員自身が伸ばしたいと考える能力やスキル、学びたい内容などの希望を踏まえ、1ヶ月~1年間、社員を派遣する
◆企業風土や経営手法、価値観の異なる他社で仕事をすることを通じ、社員の視野を広げ、組織で身に付けにくい能力を学んでもらうことも狙い
◆入社4年目以上で、現在の所属部署での勤務が1年以上の社員が対象
◆5月に募集を始めたところ幅広い年齢層、部署の社員から応募があり、この中から20~40代の5人を選定した
◆現在はコンサルタント会社などを介して派遣先を探している
◆創業100周年を迎えたパナソニックは、次の100年に向け、働き方などをめぐる改革に取り組んでいる
◆社内の二つの部署を掛け持ちできる「社内複業」制度なども導入した
という。
このパナソニックが導入した制度は、基本的には、賛成です。
仕事柄、多くの会社をまわっていると、やはり、「企業文化や風土」というものは確実にあります。
仮に、風通しの良い企業であっても、同じ企業グループでは、新たな発想や気づき、成長というものが身に付きにくく、したがって、新規プロジェクト提案や業務改革・改善提案といったものも下から上がってきづらいと思います。
ただ、この制度で気になるのは、
・派遣期間が短い
・派遣期間中の給与の出所
です。
少し話は変わりますが、どこの組織でも、「縁故系社員」が必ずいます。
例えば、顧客や取引先、協力会社の御曹司といった社員です。
この方たちは、将来的には、親や親族が経営する組織に帰ります。
要は、将来はうちの経営陣として活躍して欲しいが「1回は外の飯を食ってこい」というやつです。
確かに、最初から親が役員の会社に入社するより、違う会社で社会人生活を送ったほうが幅広くものごとを捉えることができ、将来的に、役に立つでしょう。
ただ、概して「御曹司系社員」には、「ドキドキハラハラするような仕事」は実は与えられません。
仮に仕事で失敗した場合、顧客や取引先との関係性を悪くするのはデメリットなので、無難な仕事が与えられます。
本人は「緊張感のある仕事をする経験ができた」と思っているかもしれませんが、本人が傷つかないよう、まわりが配慮して仕事をさせているわけです。
要は、重要な仕事は与えられないのです。
たぶん、パナソニックのこの制度の場合も、派遣先では、留職を希望した本人が身に付けたい仕事の本質を学ぶことは難しいかもしれません。
せいぜい、外野から、「こんな発想で仕事を進める会社もあるんだ」とか「うちでは学べない技術に少し触れられた」といった程度でしょう。
要は、「キャリアアップ志向の強い転職希望者のガス抜き」程度の制度で終わる気がします。
この制度の成果が問われるのは10年、20年後以降になると思いますが、動向に注目したいと思います。
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