プロ野球の中日ドラゴンズに今年からコーチとして就任した森野将彦2軍打撃コーチ(39)が選手時代に名古屋国税局の税務調査を受け、2013年までの3年間で約3900万円の申告漏れを指摘されていたことが各メディアにより3月29日に報道されていました。
メディア報道によると、追徴税額は過少申告加算税を含め約1800万円になるそうです。
記事によると(メディア報道を抜粋編集し加筆)
◆プロスポーツ選手は税法上、個人事業主に当たり、事業所得の申告が必要
◆選手活動に関係する支出は必要経費として控除される
◆森野コーチは家族との外食費、紳士服や女性用アクセサリーの購入費、自主練習で家族と行ったハワイへの旅費を必要経費として計上していた
◆国税局は、これらを個人的な生活費と判断し、経費として認めなかった
◆森野コーチは「体づくりのため栄養を摂取する必要があった。衣服なども公の場にふさわしいものが必要」などと主張したが認められなかった
という。
報道だけでは、詳細はわかりませんが、想像すると、おそらく、森野コーチが主張した
・体づくりのため栄養を摂取する必要
・衣服なども公の場にふさわしいものが必要
という「経費」は、認められた部分もあったでしょう。
一般論として「経費」とは、
◆それを支払うことによって売上を増やす見込みがあるか
◆それを支払うことによって支出を減らすことができるものか
◆その支払いがどのように事業に役立てられているのか
といった理由づけが明確であれば、「相場よりべら棒に高額」でない限り、すべて経費と言って差し支えないでしょう。
ただ、報道では、
・家族との外食費
・紳士服や女性用アクセサリーの購入費
・自主練習で家族と行ったハワイへの旅費
を必要経費として計上していた
ということなので、「これは生活費であって、経費とはとても認められないでしょう」という国税局の判断でしょう。
仮に、外食費であっても、例えば「個人契約のトレーナーとの会食(会議費)」、衣服代も「紳士服のみ(ただし年間数着)」であれば、「必要経費」になったでしょう。
しかし、「女性用のアクセサリー」や「家族との外食」はさすがに「仕事に関係がないから経費として主張する」のは、無理があったでしょう。
一般論ですが、「申告側が主張した経費を“認める、認めない”と税務署との間で議論が発生した場合」、税務署が「経費ではないことを立証すること」は、難しいと思います。
例えば、業種にもよりますが「独りで飲食」していても、例えば、仕事がコンサルタントや紀行作家であれば「調査費や取材費」として主張すれば、税務署が「個人的支出でしょ」と立証することはまず無理でしょう。
しかし、森野コーチのケースは「女性用のアクセサリー」「ハワイへの家族旅行」が「経費に算出」されていたので、森野コーチの主張は国税から容易に覆されたわけです。
国税や税務署の立証といえば、知り合いの税理士に聞いた話ですが、最近は、SNSをチェックしているケースもあるそうです。
つまり「仕事上の経費」として申告しても「SNSの記事の内容から個人的支出」とされる場合もあるようです。
それにしても、税制度は、その時の社会情勢に合わせて、ちょこちょこ改定されているので、知らないと「税金を払いすぎ」たりしてしまいます。
また、税務署がどのような判断をするのか、表現は適切ではないですが、「経費として認められるさじ加減」は、会計のプロでないとわかりません。
また、家族構成などによっても、合法的に有利に会計処理できることもあるので、仕事内容や業務特性をよく理解した税理士さんなどに相談するのがベストだと思います。
森野コーチのケースは「正しく税務申告してください」を国民に啓発するために国税が有名人をやり玉に挙げたという意味合いもあると思います。
ただ、森野コーチには、顧問税理士がいたと思うのですが、なぜ、このようになってしまったのか、不思議な気がします。
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