「検査データ不正」など大企業の「不祥事」に関するニュースをよく耳にする毎日です。
そんな中で、2018年2月26日付のネットニュースで、経団連の榊原会長が、
「宇部興産の対応に理解」
という驚くような見出し記事を見かけました。
大手化学メーカーである宇部興産は、2月23日に「品質検査データの不正を発表」しました。
しかし、この発表は、組織が「検査データの不正」を認識して、2か月以上経過したものでした。
そのことに対して、経団連の榊原会長は、
「発覚から公表まで2カ月かかったが、お客様への説明、契約上の守秘義務などさまざまな事情を考慮したうえで報告いただいたと思っている」
「各社の経営判断を尊重したい」
と述べ、宇部興産の対応に理解を示したのです。
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おいおいおい・・・です。
経団連は、2017年12月4日に、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レなどと続いた品質検査の不正問題をめぐり、「会員企業・団体に自主的な調査を2018年1月末を目途に行い、公表するよう呼びかけていた」はずです。
ちなみに、宇部興産は社内調査で12月11日に不正が発覚したが、納入先への説明を優先し、公表を2か月以上延ばした上に、経団連への報告も12月4日の呼びかけがあったにも関わらず、「2月23日に報告」と公表のタイミングが遅かったわけです。
榊原会長の「心の声」として「宇部興産に対して事情を理解し同情する」のはわかります。
しかし、大企業が集まった団体のトップが、「各社の事情によるから仕方がない」と公式の発言をするのは、無責任だし、「経団連という組織の求心力の低下」を会長自ら認識しているようなものです。
また、コンプライアンス的に、宇部興産のとった措置は不適切ではないかと思います。
今回、「検査データの不正」が発覚して、組織が認識し、取引先への説明を優先させた、とのことですが、仮に、「不正があることを知った組織内部や取引先関係者に宇部興産の株式を持っているものがいれば、世間に公表して株価が暴落する前に売却しよう」というケースもあると思います。
証券取引に関して素人ですが、普通に考えれば、インサイダー取引に相当し、問題だと思います。
それにしても、経団連が12月4日に会員企業に対して「呼びかけ」をしたのは何だったのでしょう。
宇部興産のケースを公に榊原会長が「容認」したことで、これからも不正があっても「当社の事情」を優先して世間や消費者への公表を後回しにする企業は発生するでしょう。
経団連の「呼びかけ」が「とりあえず何かやってます」というポーズに過ぎないのであれば、本当に無意味なことで、世間のさらなる信頼低下につながる話だと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ584号より)