昔話で恐縮ですが、私が就職活動をしている頃は、高卒や学卒の基本給が毎年1万円弱上がる時代でした。
つまり、仮に学卒の時に基本給が16万円だったとしたら、院卒(修士)は18万円弱ですが、2年経つと学卒の基本給も18万円弱になるので、仲間内では「大学院に進学するより学卒で就職した方が得かも」という会話も広げられていました。
しかし、バブルがはじけ、基本給の上昇が止まりました。
そして、給料が上がらないから、住宅ローンなど、年齢とともに給与の上昇を見込んだ借金は怖くしてしにくくなりました。
給料は上がらないし、長期のローンを組んでいる人は、生活破綻が怖いから、無駄遣いを止め、貯蓄に走り、そして内需の消費が冷え込みました。
私が学生の頃は、アルバイトして運転免許を取り、中古の車を買って、学生仲間で部活動の遠征をしたり、サークルでテニスやスキー合宿をしたりするのが夢でしたが、親世代の給料は実質頭打ちで、仕送り額は昔より減り、学生自体も「引きこもってお金がかからない遊び」をするようになったようです。
ブランド品や高額必需品を買うことはステイタスで無くなり、「安ければOK」という時代になり、日常品は「100円ショップ」で揃える人が増え、デフレが進み、その結果、サラリーマンの給料は上がらず、財布のひもはさらに締められるようになりました。
国民が貯蓄に走ってもらっては、困るから、政府は、一生懸命、貯蓄から投資へ走るように、NISAなど投資環境を整備し、空き家問題を解消するべく不動産取得税も期限付きで緩和したりして、流動化を促しています。
企業に目を向けると、バブル時代は、関連会社間で株式を持ち合う日本式経営をしていればよかったですが、グローバルスタンダードで、「時価総額経営」になり、株価・株主優先になり、消費も落ち込んでいるから、設備投資師でも回収見込みはなく、内部留保もますます増えました。
そして、企業はコンプライアンスも意識して、労務環境も整えなくてはならない時代になりました。
・・・思いつくまま、バブル崩壊後の30年弱を振り返りましたが、経済が年々拡大していた時代は、組織も大きくなりますから、年功序列型給与体系も可能でしたが、頑張った人には褒美を与えますの成果報酬になり、人件費の総額が抑えられました。
よく言われる話ですが、高度経済成長期は、頑張れば、みんなで豊かになりましたので、生活設計が立てられましたが、生活防衛に走り、子供を育てるという大事業は、「生活基盤ができてから」と先送りしているうちに晩婚化と少子化が進みました。
ただ、大企業は、いい人材をそろえなければいけませんから、労務環境を整え、キャリア形成できるような社内教育制度も充実していきました。
中小零細企業で、中途半端な組織は、ざっくり言えば、こうした労務環境を整えた従業員満足存在を向上させるマネジメントシステムがないから、成果よりも情実人事がはびこり、やる気のある人は辞めてしまい、効率の悪い仕事ぶりの人が組織にぶら下がる状態がどんどん深耕していきます。
つまり、昔なら、起業すると「オーナー社長の人柄に惚れた」と遮二無二頑張る部下もいたと思いますが、今の時代は、労務環境もしっかり整えないと、優秀な人は辞め、挙句の果ては、その企業が持つ技術力が欲しくて、大手に狙われることになります。(我慢してこうしたオーナー企業に勤めている優秀な人にとって大手に買収された方が正当に評価されて幸せかもしれませんが)
したがって、「一国一城の主」を夢見て、起業するにしても、社内制度を整備する余力があるぐらいの規模まで売り上げ規模も突き抜けないと、「従業員の生活を守るために経営しています」という夢のない状態になってしまいます。
私は、仕事の効率化や企業が抱える課題やリスク対応の指導をしていますが、基本にあるのは「組織の業務効率を無理なく高め、顧客満足と従業員満足度を同時に向上させて、組織が長生きすること」です。
けれども、この体制が確立できない組織は、オーナー経営者が、町医者の「赤ひげ先生」や町工場の「匠の技術の職人」と化して、一代限りの経営をしていただくのが、関係者みんなの幸せなのかな、という気がしているこの頃です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ571号より)
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