米軍三沢基地所属のF16戦闘機が2018年2月20日午前に、離陸直後にエンジン火災を起こし、パイロットは、主翼の下に取りつけられている燃料タンク2個を、基地の近くにある小川原湖に投棄し、三沢基地に引き返しました。
このニュースは、平昌五輪がなければ、沖縄の小学校の校庭に米軍ヘリコプターの扉が落下した時と比較して、おそらく、連日取り上げられてもいいようなニュースだったと思います。
この燃料タンクの小川原湖への投棄については、
◆燃料タンクは全長約4.5メートル、直径約1メートルで、空の状態で200キロ以上の重量
◆小川原湖ではシジミ漁の船約10隻が操業していた
◆けが人はいなかったが、投棄された燃料の落下地点から200m付近で船が操業していた
◆油漏れなどでシジミ漁に被害が出ている
といった情報がメディアから報じられています。
また、テレビニュースで見ましたが、小川原湖近くの道の駅でシジミを販売しているお店の方は「油汚染による風評被害も売り上げの損失になる」と話していましたから、地元の不安と衝撃は大きいでしょう。
安全保障など日本とアメリカの政治上の問題を度外視して、「米軍機の事故の再発防止」という観点のみで、少し考えてみたいと思います。
今回の事故は、そもそもは、「離陸直後のエンジン火災」です。
ここ最近、沖縄の基地の事故を含めて、米軍機のトラブルが多いです。
これまでのメディアの報道からは、
◆北朝鮮との緊張関係から訓練が激化している
◆訓練激化に伴いパイロットのストレスが蓄積している
◆整備不良、機材不足、大型ヘリなどの機体老朽化が進んでいる
といったことが事故が多発している原因と言われています。
ただ、これらの「原因」は、現状では、解消するのは難しいようです。
アメリカのフトコロ事情は分かりませんが、相次ぐ事故に対して、小野寺五典防衛相は2018年1月9日に、マティス国防長官に、ヘリを含むすべての米軍機の点検・整備の徹底を電話で要請しています。
しかし、今回の事故を考えれば、日本側の要請だけでは、有効性がないことが証明されています。
それでは、「機材トラブルが発生した際の対応手順の見直し」という観点では、何か改善できないか、と考えてみます。
米軍の緊急事態の手順がわかりませんが、おそらく、今回の「燃料タンクの投棄」は、エンジントラブルが発生した時にパイロットがやるべき手順に沿ったもので、パイロットは、手順通りの対応をとったのでしょう。
パイロットの立場に立てば、燃料タンクを投棄するにあたって、三沢基地の地形を地図で確認すると、基地の南側は鉄道が走り、民家もあります。
小川原湖の西側は山間地区かもしれませんが、燃料タンクの飛散や事故調査を考えると、「湖に投棄した方がベター」という判断だったのかもしれません。
具体論として、三沢基地の場合、どこに投棄するのがベターなのか、優先順位をどうするのがよいのか私にはわかりませんが、もしかしたら、米軍と日本政府、地元住民の間で、「合意された緊急事態に対する対応手順」はなかったのかもしれません。
そのように考えていくと、「機体トラブルの根本原因」である「パイロットのストレス、激務、整備不良、機体老朽化」の中で、事故防止の効果が期待でき、比較的容易にできそうなのは「整備の徹底」でしょう。
また、機体トラブル発生後の対応としては、三沢基地の場合、小川原湖への投棄がベストな選択とするならば、「漁業補償問題」しかないのかもしれませんね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ582号より)
【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7つの思考法』(パブラボ刊)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)