三菱マテリアルは、子会社である三菱電線と三菱伸銅の認証がISO認証機関のJQAによって取り消されたことで、世間の話題を集めています。
そんな折に、2018年2月8日のテレビ朝日の報道では、新たに子会社など3社で、品質不正(データ改ざんなど)が発生していたことを発表したそうです。
テレビ朝日の報道では、
◆子会社など3社では、データを改ざんして製品を出荷していた
◆データを改ざんしていたのは、アルミ製品を製造する三菱アルミニウム、立花金属工業と自動車部品を製造するダイヤメットの3社
◆3社は、いずれも顧客と取り決めた数値に適合しない検査データを規格内になるよう改ざんしていた
◆3社は2017年11月にグループの不正が発覚した後も、データの改ざんを続けていた
◆今回の新たな不正を受けて三菱マテリアルは、2月末を予定していた特別調査委員会の最終報告を3月以降に延期するとしている
ということだそうです。
それにしても、この3社には、三菱マテリアルのグループ会社という自覚は薄かったのかもしれません。
グループ他社でこれだけ、品質不正が問題になり、マスコミ報道されていれば、経営陣は、三菱マテリアルから送り込まれた人間もいるでしょうから「チェック体制の強化」など、管理体制の引き締めが少なからずあったはずです。
しかし、不正をやり続けていたというのは、内部統制が効いていなかった証拠でしょう。
ちなみに、認証機関を認定するJABのウェブサイトでは、この3社は、ISO9001や14001を取得しています。
認証機関は、複数になりますが、該当する認証機関は、これからチェックを掛けて、場合によっては「特別審査を実施」することになるでしょう。
個人的に気になるのは、「ISO14001」のお墨付きを与えている認証機関の対応です。
ひと昔前であれば、「品質不正はISO9001に影響を与えるものであり、ISO14001の認証には影響がない」との見解を認証機関は示しそうです。
しかし、今の時代、「事業活動と認証の信頼性」は大きく関与しています。
また、認証制度自体が「信頼」の上に成り立っているものですから、無傷のまま「環境に与える影響はない」では、世間が納得しないでしょう。
ちなみに、この3社のうち、立花金属工業のウェブサイトをチェックしてみました。
http://www.tachibana-metal.co.jp/kankyou.html
ウェブサイトのトップページには、
《不適合品への対応について》
このたびは、多くの皆様に、多大なるご心配、ご迷惑をおかけしていることにつきまして、深くお詫び申し上げます。
当社では、今後、このような事態が再び発生することがないよう、品質管理体制の強化を図り、再発防止に努めてまいります。
(※ウェブサイトより引用)
と表示されています。
「品質不正についてスルー」するよりは、よっぽどましですが、このようなお詫び文をウェブサイトに記載するならば、せめて「社長限界でしょ」にそって、品質不正の原因、対象製品の調査、再発防止策、賠償などについて、触れなければ、あまり意味のない「お詫び文」だな、と思います。
また、この会社の品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証は、エスエーシージャパン(SACジャパン)というアメリカ(ANAB)やオランダ(RvA)の認定を受けている認証機関の日本法人のようです。
海外に主たる法人がありその現地法人が認証活動を実施しているケースは、かなり最近は増えており、一説には、「JABで認定を受けている認証機関に認証されている組織よりも非JAB系認証機関に認証された組織数の方が多い」とも言われています。
このような組織の不正があった場合、JAB認定の認証機関には、少なくとも次回審査で、品質不正が発覚した組織に対して認証機関がどのような対応を取ったのか、チェックが入ります。
しかし、非JAB認定系の認証機関であり、かつ、現地法人の場合、アメリカやオランダの認定機関が組織の品質不正情報をキャッチしているとは思えませんから、認定審査で認証機関の対応状況をチェックしているとは思えません。
海外認定を受けている認証機関の日本法人が審査した案件について、認証機関みずからが、チェックする体制になっていればいいのですが、ちょっと気になるなぁ、と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ580号より)
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