またまた、大手企業の「品質不正」問題が発覚しました。

 

2018110日付のNHKのニュースによれば、

(以下、引用)

「国内最大手のガラスメーカー、「旭硝子」の子会社が、製品の試験管を一部の品質検査を実施したように偽って、およそ80の研究機関に出荷していたことがわかりました。

 

品質検査を行ったと偽って試験管を出荷していたのは、「旭硝子」の子会社で、静岡県に本社がある「AGCテクノグラス」です。

 

発表によりますと、「AGCテクノグラス」は、試験管を製造する際、実験を妨げるおそれのある成分が含まれていないかを調べる独自の規定に基づく検査をしていました。しかし3年前の平成27年2月以降一部の検査に必要な薬品が入手できなくなったにもかかわらず、検査を実施したように偽って、出荷を続けていたということです。

 

旭硝子によりますと、去年12月に子会社の社員からの指摘で問題が発覚し、検査を行ったと偽った製品は、およそ80の研究機関に出荷されたということです。

 

会社では、同じ時期に製造した試験管を別の方法で検査した結果、製品の品質や安全性に影響はないとしています。

 

これについて、AGCテクノグラスは、「ご迷惑をおかけして、深くおわび申し上げます。品質保証体制全般の見直しを進めていきます」とコメントしています。

 

今回の問題を、「AGCテクノグラス」は、去年12月27日に会社のホームページで公表した一方で、東京証券取引所の1部に上場する親会社の旭硝子は、投資家に迅速に情報を提供する適時開示などの対応はとりませんでした。

 

これについて旭硝子は「業績への影響は軽微なため、適時開示の必要はないと判断した」としています。」

(引用ここまで)

 

この記事を知って、以下の「二つの点」が気になりました。

◆親会社の旭硝子の投資家への情報開示の判断

AGCテクノグラスが実施した「別の方法での検査結果」

です。

 

前者に関しては、

・旭硝子100%出資の子会社であること

・問題が「検査の過失」ではなく「検査の不正」であったこと

という観点からも「適時開示の必要性がないとなぜ判断したのか?」について、旭硝子の見解をお聞きしたいところです。

 

さて、後者ですが、AGCテクノグラスのウェブサイトを見に行くと、「品質保証について」の説明文が掲載されていました。

http://www.atgc.co.jp/pdf/DNase_guarantee20180109.pdf

 

詳細は、この説明文に譲りますが、この説明によると、

◆当該遠沈管はDNaseを使用しない製品設計である

◆クリーンルームを使用した自動ラインによりDNaseが混入しない工程で製造している

◆現在の生産工程・製造管理となった20129月以降、20151月までの25か月の間に実施された検査におけるDNase検出値は、いずれも「1×10-7Kunitz units/μl以下」である

◆(検査を実施しなかった)20152月以降も関連因子であるRNaseDNA(ヒト・マウス)、エンドトキシンの検査結果は、保証値以下を維持している

DNase検出値につきましても「1×10-7Kunitz units/μl以下」を維持していると考える

というロジックで、要は「決められた検査はしていないけど製品自体は要求品質を満たしていたはずです」という論法です。

 

ロジックだけで、突っ込めば、「ちゃんと検査していた時は問題なかった」、「検査をサボっていた期間も他の関連因子は保証値以下だからスペックは満たしているはず」とAGCテクノグラスは言っているわけですが、「組織に保存してあるサンプル品の検査で問題なかった」と言っているだけで、出荷した製品すべての品質保証がされているわけではありません。

また、「関連因子の検査結果が保証値以下=DNaseが保証値を満たしていたこと」が本当に保証されるのかわかりませんし、仮に、それで問題ないのであれば「検査試薬がなくなった今、検査方法を変えて元の検査基準のレベルで出荷すればよく、品質保証基準を落とすことはない」と思います。

 

それにしても、今回も、言い訳は「決められた検査はやっていなかったけど、製品品質には影響なかった」という「結果がいいから問題ないでしょ」的な「コンプライアンス軽視」の「説明文」です。

この文面を見る限り「罪の意識」「顧客の信頼を失墜させてしまった」という後悔の念は、まるで感じられません。

 

また、

「検査試薬が手に入らなくなったのに検査方法等を見直さなかった点」

「決められた検査を実施していなかったのに、出荷が長期間に亘ってされ続けた理由」

「検査試薬の調達管理がずさんだった理由」

などについては、全く触れられていませんし、この点に関する今後の再発防止(の方向性)についても記載がありません。

 

天下の旭硝子の100%子会社が、「品質不正」に対するこの程度の説明では、なんだか情けないです。

ちなみに、AGCテクノグラスは、ISO9001の認証を国内最大手の認証機関であるJQA(一般財団法人日本品質保証機構)で取得しています。

認証機関として、どのような対応を取るのか、注目のしたいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ576号より)

 

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