20171228日付の朝日新聞デジタルによると、

(以下、引用)

「非鉄金属大手の三菱マテリアルは(12月)28日、子会社による品質データ改ざん問題に関する中間調査報告書を公表した。

「三菱伸銅」の改ざんについて報告書は、シェア拡大や検査での不適合による損失回避などが原因だと指摘。

「製造業の基本的な事項がないがしろにされていた」と批判した。」

(引用ここまで)

 と報じていました。

 

記事によると、

◆三菱伸銅では遅くとも2001年までには、改ざんを指南する「ポイント表」が存在していた

◆三菱電線工業でも「シルバーリスト」と呼ばれる同じような書類があることが確認された

121日付けで辞任した村田博昭三菱電線工業前社長も認識していた

2013年頃には、顧客から製品の品質に苦情があったが、その後も改ざんは続けられた

という。

 

振り返ると、三菱マテリアルは、1123日に、三菱伸銅と三菱電線が、自動車や航空・宇宙分野向けなどの部材で検査データを改ざんしていたと公表し、その後、子会社の三菱アルミニウムでも同様の改ざんが明らかになっていた。

今回の調査報告から言えることは、「会社ぐるみで品質データの改ざん」をしていたことになります。

 

製品が完成し、検査結果が、顧客要求や社内基準を満たさなかった場合、その製品が、実際に使用される用途によっては「許容できる基準」であれば、顧客に承認をもらうことで「特別採用(特採)」されることが、通常はルールとして認められている。

今回の件の詳細はわかりませんが、仮に「結果として問題がない(だから改ざんしても実質的に影響はない)」との理屈であるなら、「特採」を申請すればよい話である。

 

なぜ、特別採用という手段をとらずに、「検査データの改ざんをしていたのか」については、朝日新聞デジタルの報道では不明ですが、この理由が解明されなければ、組織の体質もマネジメントシステムもしっかりと改善されることはないでしょう。

 

それにしても、「現場が上に報告するのは手間がかかり面倒くさい」というような「現場の勝手な判断」ではなく、「経営層が不正を認識していた」問題ですから、当たり前ですが「徹底した原因究明」が求められます。

 

それにしても、神戸製鋼所、日産自動車、三菱マテリアル・・・など2017年に顕在化した「品質不正」については、「信頼性」というものについて考えさせられる問題です。

これらの企業は、日本を代表する企業で、ウェブサイトを見れば、「コンプライアンスへの取組」や「ISOマネジメントシステムへの取組」などがされています。

つまり、「企業規模や企業ブランドだけでなく、しっかりと信頼される事業活動も行っています」と外にアピールしており、ISOに関しては、第三者の監査も受けているわけです。

 

ちなみに、「信頼性」の定義は、日本工業規格のJIS-Z8115:200では、

「アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる性質」

と定義されています。

つまり「一定の条件下で、安定して期待される役割を果たすことのできる能力」とも定義できるわけです。

 

これを「信頼度」という定量的な観点で捉えようとすると、

「システムなどの障害や不良品の発生がしにくく、製品やサービスの提供が確実にされる確率」ですから、事例を挙げれば、

◆故障率

◆平均修復時間

◆稼働率

◆耐用寿命

といった指標で技術的には評価することができるのかもしれません。

 

ただ、上記指標は、「製品実現やサービス提供プロセスの信頼性」であって、「組織の信頼性」(組織が誠実に仕事を実行できる能力)という視点では不十分です。

解決策はできませんが、会計監査を含めて、マネジメントシステムの第三者審査などのあり方や信頼性担保にも、これら一連の品質不正問題は一石を投じる2017年の出来事だったと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ574号より)

 

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