2018年1月6日に、大阪大学が、2017年春の入学者向けの入試で、本来合格していたはずの受験生30人を不合格としたことを公表しました。
各メディアの報道によると、
◆1月6日午前から追加合格の30人に順次、連絡している
◆大阪大学によると、出題・採点のミスにより本来合格であるはずの受験生を不合格とした事例は、2004年の法人化後では例がない
◆大阪大学では各科目ごとに10人の教員が問題を作成し、複数回のチェックを重ね、試験前と後には問題作成に関わっていない教員もチェックに関わっていた
◆今回ミスがあった物理も同様のチェック態勢をとっていた
◆2017年6月、8月、12月の計3回、外部からミスを指摘された
◆本格的に調査したのは2017年12月の指摘以降だった
という。
そもそも論としては「試験問題の作成過程」です。
問題作成過程における複数回のチェック体制と、入学試験の前後にチェックをしているのに、なぜ、出題ミスに気づけなかったか、月並みな意見ですが、「チェック方法」や「チェック者の能力」について、再検討する必要がある。
個人的には、「外部の指摘をなぜ12月まで放置していたのか?」でしょう。
大学側は「仕組みがなかった」とコメントしており、それも正しいとは思いますが「メンツ」や「プライド」なども対応遅れとしてあったのではないでしょうか?
ちなみに、6月は高校教員が集う物理の研究会、その後は、予備校の講師などの指摘だったようです。
6月に受けた指摘の際には、「問題作成責任者の教授は副責任者の教授と協議」(おそらく口頭ベースでしょう)していたそうですから、「外部の指摘を完全無視」していたわけではありませんから「外部指摘を検討する手順がなかった」わけではありません。
しかし、「外部からの指摘を受付し、大学内でどのような確認をするべきか」の手順が有効でなかったことは確実です。
まず、見直すべき点は、試験問題が入試後に公表された後に、高校や予備校など外部のチェックが入るわけですから、この時点で指摘を受けた際に「大学内でどのように指摘に対して対応するのが有効な手段なのか再検討し、見直しを図る」ことが必要でしょう。
1月7日付の朝日新聞の報道では、大阪大学は、
「外部からの指摘には、問題作成に関わった教員以外のメンバーで指摘の内容を速やかに検討する「出題検証委員会」を設ける」
という。
このあらたな枠組みに期待したいところですが、老婆心ながら、この仕組み(出題検証委員会)が発動する機会は滅多にないでしょうから、「本当に機能するのか否か」も定期的なチェックが必要でしょう。
それにしても、気になるのは「本来合格だった30人」の今後の動向です。
2015年に大阪府立大学でミスがあった際には、他大学に入学していた学生の転入措置が取られています。
また、大学側は、予備校や他大学への入学金の弁済に加え、慰謝料も検討しているそうです。
本来入学するはずだった学生さんができるだけ不利にならないような解決を期待したいものです。
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