「横綱日馬富士の鳥取巡業中の10月25日夜に発生した貴ノ岩に対する暴行事件」は、ワイドショーだけでなく、一般ニュースのスポーツコーナーでも、まだまだ報道されています。
この問題について、真相は、まだまだ分かりませんが、週末の情報番組によると、ことの発端は、1ヶ月ほど前の「錦糸町のバーでの飲み会」に遡るようですね。
その錦糸町で、貴ノ岩は、モンゴル出身の後輩力士に対して「(横綱白鵬から金星を取ったことから)これからは俺たちの時代だ」旨の話をしたようです。
その飲み会に参加していた後輩力士の会話に、尾ひれがついて、白鵬の耳にも入り、10月25日夜の飲み会で、白鵬が貴ノ岩に真意を確認し、「白鵬と貴ノ岩」の間では「手打ち」になったそうです。
しかし、その時にスマホをいじっていた態度に腹が立った日馬富士が、暴力をふるった、という流れのようです。
いずれにせよ、真相究明は、警察と相撲協会危機管理委員会の調査結果を待ちたいと思います。
さて、今回の話題は「2017年11月9日に作成された診断書の文章内容」についてです。
診断書を作成したのは、「済生会福岡病院の宮城知也医師」です。
NHKニュースは報じていた診断書の文面は、
◆タイトル⇒診断書
◆姓名⇒アディヤ バーサンドルジ(貴ノ岩の本名)
◆生年月日⇒平成2年2月26日生まれ
◆病名⇒♯1脳振盪 ♯2左前頭部裂傷 ♯3右外耳道炎 ♯4右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い
◆付記⇒
上記疾病にて平成26年10月26日に受傷し、11月5日~9日まで当科入院加療を実施しました。
全治2週間程度と考えられます。
その間に状態が安定すれば、仕事に復帰が可能と思われます。
以下、余白
となっていました。
NHKの報道によると、日本相撲協会の理事や外部の弁護士などで作る危機管理委員会が、11月17日に、診断書を作成した医師(宮城医師)に聞き取り調査を行ったそうで、そこで医師は、
◆診断書は骨折と髄液漏れの両方を『疑い』としたものだ
◆CTに現れた線は過去の衝撃などによってできた骨折のあとや骨と骨のつなぎ目の線の可能性もある
◆今回の傷害との因果関係はわからないが念のため骨折の疑いとした
◆全治2週間という診断については、「10月26日から11月8日までの2週間という意味」であり、退院した11月9日の時点では状態は安定していて、相撲をとるのに支障がないと判断した
◆病院としても重傷であると報道されていることに驚いている
と話したそうです。
つまり宮城医師が作成した診断書を根拠に、貴乃花親方は、貴ノ岩の休場理由として相撲協会に提出したわけですが、「医学的には休場根拠にならない」ということなのです。
そう考えると、関係者の「別の思惑や狙い」という観点は無視するとして、「診断書の結果を素直に理解」したとあ邸すると、休場を決めた貴乃花親方、休場届を受理した日本相撲協会、診断書の内容から「重傷」と報じたマスメディア、そして一連の報道を通じてこの件を知った世間一般は、「なぜ、貴ノ岩は暴行によって重傷を負った」と思ってしまったのでしょうか。
言わずもがなですが「診断書の書き方」が「一般人には意味不明瞭」だからです。
危機管理委員会の聞き取りにより、宮城医師の「診断書の内容の真意」はわかりましたが、「日本語の文章」として捉えると、下記のような点がわかりにくいです。
《事例》
・「全治2週間程度」の起点が10月26日なのか、診断書を作成した11月9日なのか
・「その間に状態が安定すれば、仕事に復帰が可能と思われます」の「その間」とは、「いつ」を指すのか
・「上記疾病にて平成26年10月26日に受傷し」について「疾病原因が10月26日に発生」と読み取れる
この「日本語のわかりにくさ」によって「九州場所初日の11月12日の時点で肉体的に相撲が取れる状態なのか否か」が一般人にはわからないのです。
また、今回の件でよくわかったのは「診断書」はあくまでも、「診断した時の状態」が書かれるものであって、「疾病の直接の因果関係を証明するもの」ではないということです。
宮城医師が危機管理委員会の聞き取りに答えているように「今回の傷害との因果関係はわからない」のですが、診断書だけをみれは、「疾病は10月26日が原因」としか読めません。
日馬富士からの暴力を受けた後の鳥取巡業で貴ノ岩は稽古をしていますし、そもそも、日常的にものすごい勢いで相撲の取組では、ぶつかっているわけで「日常的に脳震盪を起こしている」わけですから、「10月26日に受けた暴力のみで、診断書に記載された疾病が起きた」とはいえないことは、シロウトにも想像できます。
「医師」の世界では「診断書とはこんなもの」との「常識」なのかもしれませんが、「診断書をもとに判断する側は一般人」なのですから、「もう少しわかりやすい明確な文面づくり」が求められると思います。
ちなみに、診断書を作成した宮城医師は、平成3年に久留米大学医学部を卒業し、医学博士を取得されている「脳神経外科」や「脳卒中」の専門医の方で、立派な経歴の方です。
逆に言えば、このような大病院勤務で、大学講師もされているような優れた医師ですら「一般人にとってはわかりにくい診断書作成能力」しかないわけです。
診断書作成には「ひな型」があるのかもしれませんが、医療業界全体で「診断書とはどうあるべきか」、「どのような文面に改善していくべきか」を議論して欲しいものだと思います。
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