2017119日の日本テレビのニュースによると、

「神戸製鋼のデータ改ざん問題で、不正の背景に取引先企業から実現不可能とみられる注文まで受けていた疑いが浮上した」

と報じていました。

 

ニュースによれば、

◆神戸製鋼では製品の強度など細かいデータが書かれた「仕様書」と呼ばれる図面に基づき製品を製造している

◆その際、そもそもデータが測定できないなど実現不可能とみられる注文を受けていた

◆実現不可能な注文を受けていた理由は、仕様書を軽視して問題のない製品さえ出していればいいという考えが一部にあった

◆改ざんがアルミ事業で横行した理由について、アルミ事業は社内で成長事業に位置づけられていた

◆そのため、ルールより利益をあげることが優先されていた

そうです。

 

マネジメントシステム監査に私は関係しているので、これが長年、内部監査や第三者監査で見つからなかったことを残念に思います。

当たり前ですが、マネジメントシステム規格では、要求事項を確認し、能力があるか否かも、受注段階でしっかり確認することが求められています。

しかし、そのプロセスのルールが無視されていたにもかかわらず、それを監査の中で検出してこなかったわけですから、内部監査はもちろん、担当した第三者機関は、半分冗談ですが「切腹もの」です。

いくらサンプリング監査とは言え、何年も見過ごされてきたことが、きちんと検証されなければ、「第三者認証の信頼性」は地に落ちたことになりかねません。

 

技術が確立し、社会が成熟した国や地域における監査は「性善説」で実施し、技術力が低く、モラルも低い国や地域では「性悪説」での審査が大事、という声もよく聞きます。

これは、前者の場合、監査を通じて「気づきを得ること」が組織のマネジメントレベルをさらに向上させることであり、後者の場合は、監査を通じて不正を見つけることが重要、との発想だと私は理解しています。

 

しかし、仮に、マネジメントシステム監査そのものが「問題検出能力が極めて低い性質の制度」であるとしたら、「性悪説に基づき監査を実施しても問題はなかなか見つからない」という話になります。

また、「技術が確立し、モラルが高い」と言われていたはずの日本が、このような「インチキ商売」を多くの会社がしているようであるなら「気づきを促す性善説の監査」自体が、間違った監査の思想であった、ことになってしまいます。

 

ISOマネジメントシステムの社会における役割という観点で捉えた場合、この制度に関わる認証機関や認定機関はもちろん、学術的見地からも、検証し、より高いレベルに制度を引き上げるための考察・研究が望まれると思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ567号より)

 

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