組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。
このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「内部外部の課題、利害関係者のニーズ・期待、リスクと機会の決定」について。
品質マネジメントシステム規格である「ISO9001:2015年版」の大きなポイントの一つに「内部外部の課題、利害関係者のニーズ・期待、リスクと機会の決定」があります。
この決定に関わる主な要求事項は、「4.1組織及びその状況の理解」、「4.2利害関係者のニーズ及び期待」、「6.1リスク及び機会への取組み」と「4.3品質マネジメントシステムの適用範囲」になるでしょう。
言わずもがなですが、企業や団体など「組織」には、理念や目的、使命といったものがあります。
一般的には、社是、経営理念、経営方針という形で明文化され、それらを念頭に、経営計画書や事業計画書として中長期目標や年度目標が設定され、具体的な取組みとして実施展開されていきます。
したがって、「内部外部の課題、利害関係者のニーズ・期待、リスクと機会の決定」については、この組織目的を達成するためのプロセスに、うまく考慮させて仕組みを構築すればいいわけです。
つまり、もうちょっと具体的に説明すると、
◆課題(解決しなければならない問題)
→内部課題:
人、設備、資金、情報、業務環境などに関する課題
(例:製品品質、生産効率、コスト、人材、安全、資金調達など)
→外部課題:
国内、国外、業界、顧客、競合他社、関連法規制等に関する課題
(例:市場環境、為替、法規制・条例、など)
◆利害関係者
→利害関係者の特定とその利害関係者の要求(ニーズ、期待)
(例:顧客、供給者、従業員、行政、株主、近隣住民など)
◆リスクと機会(目標に対する不確かさな影響:好ましくない影響、好ましい影響)
課題と利害関係者のニーズ及び期待を理解したうえで、
・QMSが意図した成果を達成できること
・製品・サービスの適合性及び顧客満足を一貫して達成できること
・望ましくない影響を未然に防止させるか、減少させること
・改善を達成すること
に関係するリスクと機会を検討し、取り組むべきリスクと機会を決定して、目標設定・展開していけばいいでしょう。
このような考え方で、実際にこれらを抽出してみると、営業面に関する課題が多くなりがちでしょうし、目標設定・展開すべき項目もたくさん出てきて、どうしよう?という状態になると思いますので、ざっくりした言い方ですが
「喫緊の課題、かつ、重要なもの」
をいくつかに絞り込み、優先順位をつけて取り組むことにすればいいと思います。
さて、「内部外部の課題、利害関係者のニーズ・期待、リスクと機会の決定」について、大事なのは、「会社経営全体」でまずは捉えることです。
例えば、品質マネジメントシステムの適用範囲や認証範囲が、現状は「主力製品」に限っていた場合でも、主力製品以外の製品やサービスがあれば、それらも含めて、「内部外部の課題、利害関係者のニーズ・期待」を探り、取り組むべきリスクと機会の決定をするべきです。
現在主力製品ではなくても、今後成長を期待する製品や利害関係者のニーズ、期待が極めて大きくシビアな製品は、「組織及び状況の理解」をすることで「マネジメントシステムの対象にすべきか否か」が決まってくるのです。
要は、「4.3適用範囲」は、こうしたプロセスを経て、決定されるのです。
しかし、組織も、組織審査を担当する認証機関の審査員も「スタートラインが現在の適用範囲」からで「会社の事業全体(今後計画されている事業計画を含む)からスタート」することが少ないのが現状です。
したがって、「内部外部の課題、利害関係者のニーズ・期待、リスクと機会の決定」をしていく上での出発点は「あくまでも組織の経営そのもの」からという認識を持つことが重要でしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ556号より)
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