2017114日の読売新聞が、

「後継者不足から中小企業の廃業が進み、関西では2025年頃までの約10年間で約118万人の雇用と約4兆円の域内総生産(GRP)が失われるとの試算を、近畿経済産業局がまとめた」

というニュースを報道していました。

 

 

記事によると、

◆後継ぎがいなくても対策を先送りする経営者が多い

◆近畿経産局は、中小企業庁の試算をもとに、近畿2府4県と福井県を関西として影響を調べたところ、2014年度実績と比較すると、2025年頃に関西のGRPの約5%、雇用の約15%が失われる

◆経営者の高齢化は中小企業では常態化する見通しだ。平均的な「引退年齢」の70歳を超える中小企業の経営者は、2025年に約43万人と、全体の約6割を占める

◆その約半数が後継者が未定となる見通しで、多くの廃業が生じる恐れがある

という。

◆(近畿経済局は)「会社を第三者に売却するなど早めに事業承継の手を打つべきだ」としている

そうです。

 

 

近畿経済局は、「今後の予測を試算して発表しただけ」かもしれませんが、中央官庁や行政府のトップである内閣へ提言にはならないし、日本経済や産業構造に対する世論の関心の高まりにもつながらないなぁ、と感じました。

 

 

私が「斜に見過ぎ」なのかもしれませんが、気になるのは「会社を第三者に売却するなど早めに事業継承の手を打つべきだ」という近畿経済局の考えです。

中小企業の指導などで訪問機会が多い私の感覚からすると、「後継者不足」は「結果」であり、「原因ではない」からです。

 

 

何を言いたいかといえば、「後継者不足が問題の本質ではない」ので、「第三者に売却すれば中小企業の事業が円滑に継承されるわけではない」からです。

数字としては調べていないのでわかりませんが、感覚的には「業績がよく利益が出る経営をしている中小企業だけど、経営のかじ取りができる後継者がいない」という中小零細企業は、わずかだと思います。

 

 

変な話、「利益が出ていて、ある程度、先行きが明るい事業」であり、「創業者に子供など身内がおらず、職人気質の社員しかいなくて、経営マネジメントができる後継者がいない」という状態の会社であれば、人材紹介会社が、「中小企業の雇われ経営者になりたい」という優秀な人材を探してきてくれるでしょう。

 

 

しかし、多くの場合、中小零細企業の後継者不足は、創業者やオーナー社長が「儲からないから子供に継がせないで私の代で店仕舞いしよう」というケースです。

つまり、中小零細企業の後継者不足は、「結果」であり、解決しようとするならば「中小零細企業に利益が出るような産業構造を行政主導で構築していくしかない」からです。

 

 

近畿経済局は、中央官庁の経済産業省からみれば「いち地方局」で、情報発信力や政策提言できるほどのパワーはないのかもしれませんが、評論家のように「将来的に中小企業の経営が成り立たなくなりヤバいですよ」と分析するだけではなく、「その原因と対策」をもっと提言しなければ、役所としての意味がないと思います。

 

 

それにしても、超低金利による株高だけに支えられているアベノミクス的好景気ですが、本質的な産業構造を改革しないと、技術力も開発能力もない三流国へまっしぐらの暗い未来しかないような気がします。

 

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