やや旧聞に属する話ですが、2017年10月12日付の「SankeiBiz」によると、東京証券取引所において「特設注意市場銘柄」に指定されている「東芝」が内部管理体制の審査をクリアし「上場維持」に向けて一歩前進したと報道していました。
記事によると、
◆特設注意市場銘柄に指定された企業は過去に30銘柄
◆内部管理体制が改善しなかったとの理由で上場廃止となった事例は4銘柄
◆上場廃止となれば、東芝株は市場で売買できなくなり、株価の急落は避けられない
◆東芝には2017年3月時点で、約36万人超の株主がおり、上場廃止に踏み切るのは容易でない
◆上場廃止となれば、東芝の資金調達手段は銀行借り入れしかなくなり、取引先企業や金融機関の動揺を招きかねない
◆東芝は世間を騒がせた不正会計問題にとどまらず、債務超過への転落を招いた米原発事業の巨額損失と、大きな失態を重ねた
◆決算発表の遅れが常態化し、株主や投資家が重要な判断材料を長期にわたり入手できなくなった
と報じている。
上記については、東芝が社会に与える影響についてこれまでも語られてきたことではあるが、ただ「上場維持に方向へ」ということになると、「東京証券取引所の信頼性」という点において、いったい「投資家や株主は何を信用してよいのか?」ということになってしまうと思う。
東京証券取引所は、今回の内部管理体制の審査において、
◆東芝の経営判断の過程の見直し
◆東芝の適切な会計報告を行うための財務部門の独立性強化
◆東芝の海外を中心とする子会社の管理強化
などに取り組んでいるとして「内部管理体制の改善がなされた」との結論を出しているそうであるが、あくまでも、それらは「絵に描いた餅」であり、「強化されたり、改善された内部管理体制が有効に機能するかどうか」は、ある一定期間の結果を見てから「上場維持の判断」がされるべきものだと思う。
そもそも、東芝の会計監査を担当するPwCあらた監査法人は、2017年8月にアメリカの原発子会社「ウエスチングハウス」の巨額損失の会計処理に関して「内部統制の不備が認められる」と指摘され、内部統制監査で不適正意見がだされている。
会計監査法人と東京証券取引所の判断が「絶対に一致」している必要はもちろんないが、会計監査法人が内部管理体制についてダメ出ししている状況が、数ヶ月で「改善されました」と評価されることは、株主はもちろん、投資家や市場関係者からしたら、「何を信頼すればいいの」となり、東芝に限らず「上場企業の市場での信頼性」という観点では、「この状況で上場廃止にならないのなら他のケースで上場廃止になることはない」とも言えてしまうのではないだろうか。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ563号より)
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