組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)が国際規格に適合し、有効に機能しているかを第三者が審査し、世間に公表するISO認証制度がある。
このISOマネジメントシステム審査について、最近、個人的に気になっている点を備忘録代わりに、何回かに分けて少しまとめておきたい。
今回のテーマは、「組織の知識」について。
品質マネジメントシステム規格である「ISO9001:2015年版」の変更点のひとつに「組織の知識」があります。
私の認識では、この要求事項の背景には、
『組織の固有技術の継承に問題があり、それが原因で重要な技術的な知識が不足した結果、問題が発生しているケースが少なくない。そのため、組織の固有技術を明確にして「組織の知識」としてマネジメントシステムの中で確実に管理する必要性がある』
ということではないかと思います。
では、「組織の知識」とは、どのようなものを指すのか、を考えてみたいと思います。
規格では、
◆プロセスの運用と製品・サービスの適合のために必要な知識
◆組織固有のもので経験から得られるもの
という記述があります。
ここから考えてみると、
◆組織の固有の技術的知識
◆経験則で身に付いた仕事をする上での「コツ」
◆成功や失敗事例から得られたノウハウ
などが考えられます。
一般的に「管理が簡単」なのは、「文書化した知識」です。
しかし、現実的には、「文書化していない暗黙の知識」が組織内の業務には、数多く存在しているのではないでしょうか。
いわゆる「暗黙知」を管理することは、厄介です。
なぜならば、
・文書や言葉で表現しずらい
・経験則で身に付き、担当者間では常識となっており「管理すべき知識」との認識が薄い
・「ノウハウ」を「見える化すること」は、自分の地位やポジションを脅かすことになる
からです。
いずれにせよ「このようなものが組織として継承し管理するべき知識である」とまずは明確にすることが必要です。
また、「組織の知識」のうち「暗黙知」は、「規定や手順書」といった「文字に起こす必要」は、必ずしもありません。
写真や動画として記録し、教育ツールとすることも一つの管理方法でしょう。
「成果が見えやすい営業マン」を例に挙げるとわかりやすいですが、競争力の源泉となっている「ノウハウ」は、優れた営業マンであればあるほど「開示しにくい」でしょう。
特に、成果給や歩合制度で給与が決まってくる場合は、余計に「組織の知識を洗い出し、見える化して管理すること」は難しいでしょう。
この点について、具体的な解決策は、この場では提示しにくいですが、経営者や管理者は、この点を理解して、「組織の知識の継承や管理方法」を考える必要があるでしょう。
さて、内部監査や第三者監査など「監査の視点」で「組織の知識」を考えた場合、「組織により現状洗い出された知識とその管理方法を確認する」だけでは、もったいないと思います。
・自分たちは認識が薄かったが、よく考えれば競争力の源泉となっている知識、知恵
・「組織の知識」についてその管理方法が有効に機能しているかどうか
といった点にも言及して監査するべきでしょう。
ちなみに、「監査」において、少し具体的を話すと「コンサルティングになるのでは」と警戒される方が多いですが、「規格の意図を解説する延長線上で出た具体例の提示」は、一般的には「監査を通じてコンサルしている」とは言わないでしょう。
聞き手側が「このようにしないとダメだ」と「無理矢理強制された」と感じるか、否かがポイントだと思います。
「状況の確認」→「規格の意図の説明」→「相手方の気づき」というパターンに持っていくのが肝要でしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ557号より)
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