少し古い話で恐縮ですが、2017年7月19日付の日経新聞で、「空港の入場規制に関する規制緩和」の記事が掲載されていました。
記事によると、規制緩和により、
◆飛行機に乗らない人でも(搭乗ゲート内に)入れるようにする
◆飲食店や土産物店などが(一般客が入場することで)出店しやすくする
◆搭乗客は飛行機に乗る直前まで買い物や食事を楽しむ機会が広がる
◆搭乗口で家族や友人との別れを惜しむこともできるようになる
◆空港内での消費を盛り上げる
ということになるらしい。
今回、国交省が打ち出している規制緩和は、「国家民間航空保安プログラム」の見直しで「対象は国内線の保安区域」で、「国際線は対象から外す」というが、これは、パスポートのチェックなど国内線とは比較にならないセキュリティがあり、当然でしょう。
「立ち入り制限区域の見直し」というと「見送りの人が搭乗寸前まで見送ることができる」ことがメリットに思い浮かびやすいですが、これは副次的な効果で、本音は「空港の経済活性化」でしょう。
羽田空港など一部のドル箱空港を除き、空港への出店は、一般的には「出展料が高い」といった理由でハードルが高いでしょう。
ハードルが高いと、出店店舗も二の足を踏み、商品価格も上乗せさせられることになり「空港商品は高い」という現実とイメージが定着し、空港店舗が活性化しません。
しかし、一般の人が、搭乗口内部にある現在は「入場規制対象区域にある店舗」に入れるとなると、利用者は増え、出店希望店舗は増え、競争によりサービスは向上、価格は下落となり、「空港店舗経済が活性化する」ことが考えられます。
北海道に出張に来ていた人に聞いた話ですが、千歳の会社に出張で本州から訪れ、地元の人に「食事やお土産を買うにはどこがいいですか?」と聞いたら「空港が一番揃っている」と紹介されて、苦笑いした、という話を聞いたことがあります。
しかし、逆に言えば、新千歳空港のように飲食店も土産物店も充実した空港だと「飛行機に乗らない地元の一般客がショッピングモールに買い物に行く感覚」で、新千歳空港を利用しているわけです。
現に、私も地方に出張した際に、訪問先への予定時間が数時間あり、「喫茶店で時間をつぶすぐらいなら、コンセントもあり、空港Wi-Fiサービスがある空港内のデスクを利用した方が便利」と考えて飛行機を降りた後、空港内のレストランでランチを取り、仕事のメール送受信を完了させてから訪問先に向かったことがありました。
一昔前なら、大手キャリアの上級会員カードで利用できるラウンジで有線LANに接続し、飲み物を飲みながら、くつろぐのがステイタスでした。しかし、今では、ラウンジに入らずともネット接続は空港内ならできますし、ラウンジの飲食物は各社ともショボくなり、自分が利用する搭乗口からラウンジが遠ければ、ラウンジに行く往復が面倒で通常ロビーで十分になりました。
ただ、入場規制の規制緩和で、搭乗ゲート内の利用者が増えれば、通常ロビーの座席は足りなくなり、コンセントが使える場所の「争奪戦」が激化しそうな気がします。
また、繁忙期は今でさえ、搭乗ゲートの検査は列をなしていますが、これが「とんでもなく長くなる」と今以上に余裕をもって空港に到着する必要が出てきて、それも不便です。
また空港の構造によっては、セキュリティホールが生まれ、「密輸」や「機内への危険物持ち込み」が可能になるかもしれません。
いずれにせよ、今回の規制緩和は「全国一斉」だそうですが、「一般利用客の増加による経済効果」というメリット面だけでなく、
・セキュリティ面
・空港ロビー内の混雑度
・搭乗客の利便性
といった点から、「試行検証期間」が必要になるのではないかと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ558号より)
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