201793日付の京都新聞が、「教員の12人に1人が非正規の常勤講師」という次のような記事を掲載していました。

 

(以下引用)

「京都府内の小中学校で担任など重要業務を担う教員の12人に1人が非正規の常勤講師-。

「来年度の雇用を考えると管理職に意見が言えない」

「待遇が低く結婚できない」

8月中旬、京都市内のホテルで、長期にわたって常勤講師として働く教員たちが全国から参加する集会があり、苦しい胸の内を明かした。

 京都市の30代男性は、10年近く常勤講師として働いてきたが、数年前の年度末、管理職に業務の改善点を指摘したところ、「4月から雇用継続できない」と一方的に言われた。

理由は明かされなかった。男性は「担任をし、学級運営に問題もなかった。それまでは不満があっても言わないようにしていた。学校が良くなればとの思いだったが、それが『切られた』原因だったら悔しい」と憤る。現在は、他の自治体で講師として働いているという。

 長野県の40代男性は毎年採用試験を受けているが合格せず、常勤講師として20年近く働く。副担任で、部活指導も行うが、給与が少なく貯金もわずかで、結婚していない。教員の仕事にはやりがいを感じているが「正規教員(教諭)ではないと分かると、生徒や保護者の信頼を失うのではといつもびくびくしている」と切実な状況を語った。参加者からは「教諭から同僚と見なされているのか不安」との声もあった。

(引用ここまで)

 

 

記事では、「京都府・京都市教育委員会」によると、府内で講師歴20年を超える人は少なくとも55人いるとも報じていました。

非正規教員は、学級担任や教科指導は、正規教員同様の業務を担っているそうであるが、当然、「昇給」はなく、退職手当もない。

しかも、経験年数が上がると、業務負担と責任は重くなるが、給与は上がらないそうなので、きっと、モチベーションの維持も難しいのでしょう。

 

 

私の大学時代の友人にも非正規教員をしている人がいますが「毎年仕事があるかわからないから収入面の不安は常にある」と言っていました。

また、非正規教員であっても、正規教員同様に課外活動も担当させられるそうで、生徒や保護者からみたら「正規も非正規」も責任と業務内容は変わらないわけです。

 

 

私の認識では、非正規教員は、正規教員の産休時の臨時登用、正規教員が病気、ケガなどで長期休暇取得時の臨時登用といったケースで活動の場が生まれていると思いますので、「正規の採用試験をパスした先生が職場復帰」すれば「お役御免」になることは性質上、仕方がないと思っています。

 

 

ただ、「12人に1人が非正規の常勤講師」、「京都府では勤続20年以上の非正規常勤講師が55人」という状況からすると、「恒常的に非正規の常勤講師を雇い、学校運営になくてはならない貴重な戦力」になっているわけで、「教育委員会として非正規雇用の教員問題」についてなんらかの手を打つべきだと思います。

 

 

このような議論の場合、「非正規教員は、正規の採用試験にパスすれば収入も安定するだけの話」とか「教員免許を持っているだけであり、採用試験に合格しないということはなんらかの問題がある」という意見も多々あります。

しかし、そもそも、

・正規の教員採用試験にパスしても精神的に継続できない教員が多い

・非正規講師で生徒指導は長けているが採用試験にパスしない

という事例が多いとすると「そもそも採用試験の有効性に疑問があり改善を要する」といえるのかもしれません。

つまり、「ペーパーテストでは、真に活用できる教員の採用ができていない」可能性があり、「採用試験にはパスしていない非正規教員の中で指導実務が優秀な人を正規採用する制度」などを作る必要があるといえるのかもしれないです。

 

 

また、非正規教員の人事権は、教育委員会が握り、現場経験年数や実務指導状況に応じて、教育委員会全体で、次年度以降の雇用の有無を決定できるプロセスにする必要もあるのかもしれません。

教育現場では「現場改善」が必要だと思いますが、管理職教員や教頭、校長といった現場の上司の意に反する人物は「使えない」と判断され、それが雇用の可否に直結するようでは、学校現場が良くなるはずがありません。

 

 

もちろん、「他に収入があって“教えるのが好き”」という「非正規講師稼業をあえて選んでいる人」もいるかもしれません。

しかし、多くの非正規の人は、「ほぼ一生、収入増が見込めない」状態では、「自分一人が生きていくのに精いっぱいで、家庭を持つなど不可能」となるでしょう。

「採用試験にはパスしないが、実務には長けている」という非正規教員の労働環境は、何らかの改善・整備が必要なのかもしれないですね。

 

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