1998年に出版された「五体不満足」が大ベストセラーとなったタレントの乙武洋匡氏の元夫人が201784日に、精神障害の損害賠償を求め東京地裁に提訴したという報道を「週刊文春」などマスコミ各社が報じていました。

 

 

元夫人が「裁判」を起こした理由は、「離婚の際にその経緯などを一切口外しないと取り決めたにもかかわらずテレビ番組でその約束を破り、内容を偽造し、不貞行為で傷ついた元夫人の心をさらに蹂躙した」ということのようです。

 

 

乙武洋匡氏が「テレビで公にした」番組は、201611月に放送されたフジテレビ系の「ワイドナショー」(VTR出演)だそうです。

この番組で乙武氏は、離婚について、

・妻は前から私がやらかしてしまったことは知っていた

・家庭内では(浮気は)そういうものだと暗黙のうちにまわっていた

・騒ぎが広がっていくうちに『乙武の妻はこうなるんだ』というのが本人の中に広がっていった

・それで耐えられなくなり、離れた方が子どもたちのため

というような説明をしていたようです。

 

 

つまり、乙武氏の主張では、元夫人は、

◆不倫三昧は元夫人も了承していた

◆不倫報道が大きくなり夫人(当時)は驚き、子どもを守るために離婚を決意した

ということをらしい。

 

 

しかし、元夫人の「離婚理由の主張」は、

「乙武氏の不倫発覚後のモラハラ」

が原因だという。

 

 

文春によると、「モラハラ」の事例としては、

・不倫発覚後、自宅にこもった乙武氏は友人を呼んでの宴席を繰り返た

・友人を呼ぶことで友人たちの好奇の目にさらされ、宴席準備に耐えかねた夫人が控えて欲しいと依頼

・すると乙武氏は「それなら、おまえの両親も呼ぶなよな」と逆切れ

・義父母を出入り禁止にしてたことで、身の回りの世話を全て夫人に焼かせた

・夫人が子どもを幼稚園の送迎バスに乗せるためにほんの数分離れただけで激怒した

・激怒すると「俺の面倒を見ないと、障害者虐待防止法で訴えるぞ」と言い放った

という。

 

 

文春の報道が事実だとすると、不倫騒動を起こすまでの世間の乙武氏に対するイメージとは程遠い実像である。

 

 

気になるのは、「ワイドナショー」の番組作りである。

毎度の議論になるが、ワイドナショーは、「報道番組」なのか「バラエティ番組」なのかが、ひとつのポイントになる気がします。

 

 

「ワイドナショー」は、「マスメディを賑わした芸能人の不倫報道などに反論の場を与える」が番組のコンセプトだと思います。

ただ、放送事業者の番組制作・編集の基本ですが、

「放送事業者は、放送番組の編集にあたって、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」

が求められているはずです。

その観点からすると、ワイドナショーを報道番組としてみなした場合、離婚問題のような意見や認識の相違が生じやすい事象を、乙武氏(VTR出演)の一方的な主張の場にして放送してしまったのは、番組作りに甘さがあったといわれても仕方がないかもしれない。

また、番組制作サイドは、一般人である元夫人の主張を取り上げるなり、あるいは、乙武氏の主張について、元夫人側の主張を検討する必要はあったのでしょう。

仮に「元夫人サイドに離婚理由」を確認すれば「乙武氏との間で一切口外しないと取り決めがあり、放送するなら乙武氏の守秘義務違反になりますし、場合によっては番組も訴えますよ」となったかもしれない。

そうなれば、そもそも「乙武氏のVTR出演自体がお蔵入り」して、元夫人は精神的な被害を被ることはなかったかもしれない。

 

 

このように考えていくと、ひとつの事例ではあるが、まだまだ「フジテレビのコンプライアンス体制」は形骸化しており、「学生ノリの延長で番組制作する社風」は相変わらずで、「適切な番組作り」の仕組み(マネジメントシステム)は有効に機能していないように思う。

きちんとフジテレビは内部監査を実施して、番組づくりが適切かどうかを検証して欲しいと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ554号より)

 

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