2017年7月21日付の読売新聞が「監査法人の交代制」について報じていました。
記事によると、(以下、引用編集)
◆金融庁は20日、企業の決算などをチェックする監査法人を、一定期間で変更させるローテーション制度の導入を検討すると発表した
◆不適切会計が発覚した東芝では、同じ監査法人が長く監査を担当したことが問題の背景にあるとされる
◆(ローテーション制度は)企業と監査法人のなれ合いを排除し、監査の質を高める狙いがある
◆国内の監査法人や企業、機関投資家などから聞き取り調査を行い、意見を集約する
◆企業と監査法人を巡る海外の事例も調査し、一定期間で変更するメリットとデメリットを見極める
◆国内では、2016年度の東証株価指数(TOPIX)で2007年度にも存在していた上位96社のうち、この10年間で監査法人を代えたのは、わずか5社にとどまる
◆歴史ある企業ほど、同じ監査法人と長く付き合う傾向がある
と伝えていました。
私の考えは、結論から言えば、「総論としては定期的に交代するべき」と考えます。
というのも、金融庁がおっしゃるように「なれ合いが生じる可能性が高い」というのは、監査の性質上、当然で、しょうがないです。
なんといっても「監査報酬」は「監査を受ける企業」から支払われます。
「監査報酬は莫大」ですから、「担当監査法人」として「継続契約」してもらうためには、「甘くなるリスク」をはらんでいます。
つまり、監査法人が「うちは絶対に適正な監査をしています」といっても「ホントですか?こんなにも日本の上場企業の不正会計がしょっちゅうニュースになるのに??」と世間一般では、考えてしまいます。
また、現実問題として、企業の不正会計が露見しても、殆どのケースで、監査法人の担当公認会計士は、刑事罰に問われていません。
海外の場合は、不正会計が判明した場合、担当公認会計士は、重罪に問われるといわれています。
しかし、日本の場合は「監査では見つけることができなかった、故意ではない」として免責になっているケースが多い印象があります。
こうなると、「いい訳さえ通るような状態にしておけば、監査法人は監査報酬を支払ってくれる企業の方を向いた監査」をする性質が出てくるのは当然です。
不正会計が判明した場合、担当監査法人や公認会計士が罪に問われるのであれば、「報酬を支払ってくれる企業寄りの監査になる」というリスクはかなり減るでしょう。
また、監査法人をローテーションさせることで、
◆監査法人は、「継続受注し続けることは不可能」になるので、よりしっかり監査できる
◆次に担当した監査法人が以前の監査をチェックすることにもなるので、監査がより適正になる
ということが考えられます。
ただ、監査報酬を支払う企業からすれば、「長年、監査を同じ監査法人に担当してもらうことは、説明が楽だし監査が効率的に受審できる」というメリットがあります。
また、「監査を受ける企業が監査法人に監査報酬を支払う」という制度自体を変えるのも難しいでしょう。
こうした現実の中で考えると、例えば、監査法人の中で「担当監査チームをローテーションさせてなれ合い防止」を自主規制的に実施している監査法人もあると聞きます。
ただ、日本企業の株式市場の信頼性確保を担保し向上させるためにも「監査法人自体の定期的な交代(ローテーション)」は必要でしょう。
裏技的に「監査法人は交代するが公認会計士は一緒(監査チームは同一)」というケースが生じるかもしれないので、ローテーション制度を作るなら「裏技ができないような措置」も必要でしょう。
金融庁がぶち上げた「ローテーション制度」の今後の動向に注目したいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ552号より)
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