2017年7月21日付の千葉日報によると、
「千葉大学で劇物の硝酸銀400グラムが紛失し警察に盗難届」
が出されたそうです。
記事によると(以下、引用抜粋)
◆「硝酸銀」400グラム(8万円相当)の入った瓶1本が亥鼻キャンパスで紛失した
◆硝酸銀は、摂取すると頭痛や目まいを起こすことがあるが、現在、健康被害は確認されていない
◆二重に施錠していた場所からなくなっており、19日に千葉中央署に盗難届を出した
◆盗難された硝酸銀は、マウスなどの臓器の異常を知るために病理標本の染色などに使われる
◆10日午前10時ごろ、医学部棟3階の皮膚科学試薬分析室で女性職員が使用しようとしたところ、棚に保管されているはずの瓶がなくなっていた
◆皮膚科学内の各部屋を探し、教職員らへの聞き取り調査などをしたが見つからなかった
◆14日に千葉中央署に相談し、あらためて複数回探し、各部屋、関係者に聞き取り調査を行った
◆千葉大では、1996年ごろ、500グラム購入し、毒物及び劇物使用簿で使用状況を管理していた
◆今回紛失に気付いた女性が年に数回程度しか使っていなかったそうで、最後の確認は今年3月15日であった
◆保管部屋は暗証番号キーで出入りが管理され、番号を知っているのは医師や職員のみで約30人
◆棚は通常施錠されていて、鍵は試薬分析室内にある
◆他にも約70種類の劇物と毒物があったが、硝酸銀だけがなくなっていた
ということらしい。
状況を報道で知る限り、毒劇物取締法で規定されている施錠された保管場所で保管されており、使用状況も使用管理簿が付けられていたので、その点では問題がない。
ただ、
・硝酸銀の使用頻度が年数回
・無くなったことに気づいた女性以外、使用していない
ということではあるが、「保管部屋の暗証番号」は、約30人が知っており、「鍵は試薬分室内」にあるということだから、おそらく「部屋の暗証番号を知っている約30人は鍵の取り出しが容易に可能な状態」であったのだろう。
つまり、私の感覚的には、
「硝酸銀の保管されていた棚は鍵は掛けられていたが、事実上、使用(取り出し)していたのは女性のみにもかかわらず、部屋に入室できる約30人が取り出せる状況にあった」
わけで、「千葉大学の劇物の管理状態が不十分だった」といえるのではないかと思う。
記事によると、千葉大学の立石公史広報室長は、
「薬品を取り扱う全ての研究室と情報を共有し管理意識の向上を図り、全学で組織される化学物質管理運営委員会でもさらなる管理の徹底と、定期的な在庫の確認など再発防止策を検討していく」
と述べたそうであるが、原因がはっきりしない中で「化学物質管理委員会での管理の徹底」と叫んだところで、効果的な再発防止策とは、全く言えない。
千葉大学は、環境マネジメントシステム規格の「ISO14001」を取得しており、「法規制の順守状況確認体制」はもちろんあっただろうし、内部監査や外部監査もしっかりやられていたはずだ。
しかし、仮に、内部監査や外部監査(第三者監査は日本能率協会(JMAQAが担当))されていたとしても、「現状の鍵の管理体制は実質的な使用者以外の者が劇物を持ち去るリスクが高い」ことを指摘していなかったとしたら、「内部監査も外部監査も効果的に機能していなかった」と(担当された監査員には申し訳ないが)いえることは間違いない。
第三者監査を担当している日本能率協会は、千葉大学に状況確認と盗難(紛失?)の原因と再発防止策の報告を求めるとともに、千葉大学の内部監査の有効性をしっかりチェックさせて報告させる必要がある。
また、JAB(日本適合性認定協会)も、日本能率協会からの型通りの報告ではなく、「監査が有効に機能していたのか」をしっかり検証して報告してもらうことが必要であろう。
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