現在の日本は、

「大経営者と呼ばれるような人がいなくなった」

とよく言われています。

 

 

昨年亡くなったが、富士ゼロックスの社長を長年務めた小林陽太郎氏は、「大経営者」と言われるひとりでしょう。

小林陽太郎氏が、社長になったのは1978年で、当時、44歳。

1992年に代表取締役会長になり、2006年まで相談役を務めていましたが、実質的には、1978年から2006年まで経営者であったとも言われています。

 

 

小林陽太郎氏の功績はたくさんありますが、その中のひとつが「企業理念を制定したこと」でしょう。

また、

「良い会社」=「地域社会や環境に対して優しい会社であり、また、働く人たちがそこで働くことがおもしろいと思えるバランスの取れた会社」

と定義しました。

 

 

「大経営者と呼ばれる人がいなくなった」と言われる原因は、企業理念はお題目的に形骸化し、経営者の興味は、株主や市場が関心を持つ短期的な利益を出すことになってしまったからでしょう。

 

 

ちなみに、ハーバードビジネススクール教授のクレイトン・クリステンセンは、著書「イノベーションのジレンマ」(1997年)で、「大企業は、破壊的イノベーションはできない」と唱えています。

 

 

その理由として、

 

 

1 企業は顧客と投資家に資源を依存している

⇒既存顧客や短期的利益を求める株主の意向が優先される

 

 

2 小規模な市場では、大企業のニーズを解決できない

⇒イノベーションの初期には、市場規模が小さく、大企業にとっては、参入の価値が無いように思える

 

 

3 存在しない市場は分析できない

⇒イノベーションの初期には、不確実性も多く、現存する市場と比較すると参入の価値がないように見える

 

 

4 組織の能力は、無能力の決定的要因になる

⇒既存事業を営むための能力が高まることで、異なる事業が行えなくなる

 

 

5 技術の供給は、市場の需要と等しいとは限らない

⇒技術を高めること、それに需要があることは関係が無い

 

 

としています。

 

 

好きずきは別にして、現代の日本の大経営者のひとりに、孫正義氏が挙げられると思います。

孫氏は、勝算をもって新たな挑戦をこれまでもしてきたと思いますが、一見すると「一般的には無茶・無謀といわれる経営判断」をしてきたと思います。

やはり、大株主である企業経営者であることや、短期的利益に極端に走らず、長い目で見た経営、想いやロマンを実現する経営戦略を取ることができるから、そのような経営ができるのでしょう。

 

 

クリステンセンが「大企業は破壊的イノベーションができない」と著書で唱えたのは1997年ですが、まさに、成熟した大企業から大経営者が出なくなった今を予測していたことがいまさらながらわかる話だと思いますね。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ514号より)

 

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