2017年6月13日付の毎日新聞によると、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画に関する「官邸の最高レベルが行っているご意向」を裏付ける「メールの真偽」について、義家弘介副文科相は、「一般論として、告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを流出させることは国家公務員法(違反)になる可能性がある」との見解を示したと報じていました。
この見解は、参院農林水産委員会で、自由党の森裕子氏の質問に対する答弁でのことです。
確かに「公益通報者保護法」では、(以下、Wikipediaより抜粋編集)
◇保護の対象となるのは、当該事業者に従業する公益通報者となる労働者のみ
◇通報対象事実は、公益通報者保護法別表にある7の法律のほか、政令にある約400の法律の違反行為のうち、犯罪とされているもの又は最終的に刑罰で強制されている法規制の違反行為
である。
要は、すべての違法行為が対象となっているわけではなく、倫理違反行為が対象となっているわけでもなく、刑罰で強制しなければならないような重大な法令違反行為に限られると定められている。
つまり、義家副大臣がおっしゃるように、「告発内容が法令違反に該当しない場合」は、「通報者は守られない」と法律論的には言えます。
また、公益通報者保護法では、通報先は、3つあり、
◆事業者内部
◆監督官庁や警察、検察など取締り当局
◆その他外部(マスメディア、消費者団体など)
のうち、マスメディアなどに通報した場合は、
A:「通報内容が真実であると信ずるにつき相当の理由(=証拠等)」
B:恐喝目的・虚偽の訴えなどの「不正の目的がないこと」
C:内部へ通報すると報復されたり証拠隠滅されるなど外部へ出さざるを得ない相当な経緯
という、3つの要件が必要となっているという。
ただし、「結果的に内部告発の事実が証明されなかったとしても、告発した時点で、告発内容が真実であると信ずる相当な根拠があれば保護される」とも規定されている。
したがって、今回のようなケースは、「法令上の重大な違反が認められなかった」という結論に至ったとしても、「通報者を守る」という立場に、組織(文部科学省)の上(副大臣)の者は言わなければ、「通報と同時に発生する守秘義務違反として罪を問われる可能性」に怯え、真実を話そうとするものは、出てこないでしょう。
義家氏の見解は、おそらく、法律論に明るい官邸寄り役人の「入れ知恵」でしょうけれど、殆ど「恫喝や脅迫」に近いと言わざるを得ない。
組織のトップ層であるならば、「真実を明らかにするために勇気をもって事実を知っているものは公表(通報)してほしい」、「公表した内容は守秘義務違反に単純にはなるが、真実を明らかにすることが第一に優先される事項であり、通報者の身分は守る」というべきである。
今回の急転直下の「松野文科相によるメール文書の再調査指示」は、官邸(安倍総理)から「痛くもない腹を探られるぐらいなら徹底調査せよ」という指示を「文科省主導で再調査を決めたことにさせられた松野大臣」という図式で、義家氏は、再調査にあたって、積極的に情報提供をするものが出ないように「けん制(脅迫)した見解」なわけで、「必死になって松野大臣や官邸を守ろうとする忠実なポチ」と化していて、なんとも情けない限りです。
義家氏に投票した有権者の多くは、彼の教職時代の姿をイメージして「校長先生や他の先生がなんといおうと俺は生徒を信じて守る」という政治姿勢に期待したわけで、そういう意味では支持してくれた有権者への裏切りである。
政治家になってしまえば、「自分ファースト」になる気持ちはわからないでもないが、「あなたの教師時代のスタイルは世の出るためだけのパフォーマンスだったのか?」と思う。
義家氏の選挙区の有権者は、今回の義家氏の行動をどう見ているのだろう?
選挙になれば、のど元過ぎればなんとやらで、すっかりこのことを忘れてしまっているのかもしれない。
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