2017年6月4日付の読売新聞が、「九州電力が、佐賀県内の約1万カ所で、道路占用許可を得ずに電線を設置していた」と報じました。
記事によると、
◆九州電力は、2017年3月までに、佐賀県内の全て許可を取得した
◆未払いだった占用料は、合計約3500万円であった
◆九州の他県でも同様の事例がある可能性があり、合計約16万カ所を対象に調べている
◆無許可だった電柱は、通信会社が県道や市道などに立てた電柱を利用して架けた電線
◆道路占用許可無届は、2015年3月に佐賀県から問い合わせを受けて判明した
◆九州電力は、「許可が必要という認識が不足していた」としている
という。
ご存知のように、道路は、人や車の往来を目的としているので、道路上に電柱など一定の施設を設置し、継続して道路を使用する場合は「道路の占有」となり許可が必要になります。
私たちがイメージしやすい「道路の占有施設」としては、電柱以外に、ガス、上下水道、看板などがあり、地上に施設を設置する場合だけでなく、埋設する場合や道路の上空に設置する場合も対象となるようです。
また、道路占有許可以外には、道路交通法の規定(道路交通法第77条)により所轄警察署長から「道路使用許可」を受ける必要があり、事例としては、
◆道路において工事若しくは作業をしようとする行為
◆道路の石碑、広告板、アーチ等の工作物を設置する行為
◆場所を移動しないで、道路に露天、屋台等を出そうとする行為
◆道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為
があります。
ちなみに、「移動式販売」は、道路脇に車両を止めで営業するとなると「占用許可」が必要に感じますが、「道路秩序を乱す恐れがある行為」として、そもそもこのようなケースは「申請しても許可が下りることはまずない」らしいです。
したがって、移動式販売を営む場合は、道路以外の場所を借りる方法でないと「違法」ということになるのでしょう。
札幌では、2017年は6月7~11日に「よさこいソーラン祭」が開催されますが、これは、まさに道路使用許可が必要な事例ですね。
それにしても、九州電力は、「無届の原因」を「認識不足」としていますが、果たしてそれだけでしょうか。
ここからは、私の勝手な想像ですが、ポイントは、無許可だった事例が「通信会社が県道や市道などに立てた電柱を利用して架けた電線」だったということです。
つまり、逆に言えば「九州電力が電柱設置からかかわっていた場合」は、「電柱の設置工事」(道路使用許可)を経て「電線の取り付け工事」(道路占有許可)が必要となります。
したがって、電柱の設置工事をする場合は、「電柱を設置するのは九州電力」なので、その流れで、道路占有許可の申請もしたのでしょうけれど、例えば、NTTが電柱を設置した後に、九州電力が電線を電柱に取り付けた場合は、おそらく「道路使用許可申請」をしただけで、終わりにしていたのでしょう。
このようなミスであったとした場合「担当者の認識不足」は、道路占有許可を取得していなかった要因の一つであることは間違いないですが、九州電力の「道路上にある施設に電線を設置する場合、適用される法令としてどのようなものがあるのか、きちんと確認する仕組みがなかった」ことが大きな要因だと思います。
昭和の時代より、企業の「コンプライアンス」が重視される時代であることは間違いないですが、「組織にどのような法令や規制、協定などが適用されるのか」を担当職員に教育・認識させることも必要ですが、「法令順守のための仕組み(マネジメントシステム)」づくりも重要であることを組織は再認識するべきでしょう。
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