ヒューマンエラーの研究で名高いイギリスの心理学者「ジェームス・リーズン博士」は、著書「組織事故」において、

「不安全行動、不安全状態は、労働災害の原因ではなく、様々な原因により発生した“結果” である。不適切な設計、監督不備、メンテナンス不良、ずさんな手順書、教育訓練不足、工具や保護具の不良などの原因が“病原体”のように長い間存在し、それがある時、管理の穴が重なって発生(顕在化)する」

と述べています。

 

 

例えば、鉄道事故が起きた場合、

◆運転手の操作ミス(不安全行動)

◆車両の整備不良(不安全状態)

ということを多くの人が「事故原因」として考えるでしょう。

しかし、リーズン博士は、これらは事故の根本的原因ではない、と著書で言っているわけです。

 

 

例えは違いますが、「風邪をひいた」時に、「熱は出ている」は「現象」で、もちろん「風邪の原因」ではありません。

「風邪を人からうつされたから」

「体力が低下していたから」

などと考えると、少し「原因」っぽくなりますが、さらにこれを突き詰めていくと、不適切な行動計画やその監視不備、リフレッシュが不十分、健康診断結果を生かしていない、食事内容の不備・・・といった真の原因が出てきます。

 

 

まぁ、表層的な原因にとらわれると、「注意させる」とか「周知させる」といった対策で終わってしまうので、経験則的にも、「これじゃあまり効果が無く意味がないな」と多くの人がわかるでしょう。

 

 

話は少し逸れますが、労働安全衛生を考える上で、「リスクアセスメント」と「危険予知(KY)」があります。

ご存知の方も多いと思いますが、リスクアセスメントとは、特定したリスクの評価と低減を評価することです。

評価するにあたって、『高いリスク』は、『危険』のことで、『低いリスク』は、『安全』のことです。

要は、高いリスクを低くするのが目的となります。

 

 

「危険予知(KY)」は、特定した危険をどのように回避するかのことで、「危険は危険」と考えます。

特定した「危険」から、大きいと思われる危険を選んで、負傷・死亡・疾病(身体面だけでなく、精神面又は認知的状態への悪影響も含む)にならにように、組織で回避方法を訓練(KYT)するわけです。

 

 

現在、国際的には、労働安全衛生のマネジメントシステム規格のISO化作業が進んでいて、DISの段階(DIS 1は賛成70%反対28%(反対が25%を超えると承認されない)で否決されてしまったので、DIS 2が出るのでしょう)ですが、正式にISO規格として発行されると、国内規格としてJIS(日本工業規格)化されます。

ちなみに、JISは経済産業省が管轄していますが、労働安全に関しては、厚労省も絡んで共管となるという話である。

今後の動向に注目していきたい。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ490号より)

 

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