2017年5月26日付のスポニチが、
(以下引用)
「ボクシングのWBA世界ミドル級王座決定戦(20日、有明コロシアム)で村田諒太(31=帝拳)がアッサン・エンダム(33=フランス)に不可解な1―2の判定負けを喫したことについて、WBAのヒルベルト・メンドサ会長は25日、パナマの本部で会見を開き、両者によるダイレクトリマッチ(直接の再戦)を指示した。とWBAの公式ツイッターが伝えた。
また、エンダムの勝利と採点したグスタボ・パディージャ氏(パナマ)、ヒューバート・アール氏(カナダ)のジャッジ2人を6カ月間の資格停止処分とした。」
(引用ここまで)
と報じていました。
ボクシングファンはもちろん、ボクシングにふだん興味がない人でも、ロンドン五輪ボクシングのミドル級金メダリストの村田諒太選手のことは知っているでしょうし、所謂「不可解判定」は各メディアも取り上げたので、ご存知の方も多いでしょう。
少し、話題がそれますが、この「不可解判定」の件で、びっくりしたのは、世界戦など国際試合をジャッジする審判員には、「技能試験がない」ということです。
詳細は省きますが、ざっくりいうと、WBAの場合、各国のボクシング協会などから推薦された人物について、経歴などをチェックするだけで、「国際審判」として登録されるそうです。
これ、常識的に考えても、おかしいですよね。
世間からのボクシングに対する権威や信頼性を大きく損ねるシステムといえるでしょう。
ボクシングの場合、世界的には「主要4団体」と呼ばれる国際的なボクシング団体(WBA、WBC、IBF、WBO)があります。
これも詳細は、省きますが、例えば、「ノックアウト」についても、WBAなら「1ラウンド3回のダウン」でノックアウトとしますが、他団体は、レフリーがダメージを判断する「フリーノックダウン制」です。
また、スコアのつけ方も「各ラウンドで極力優劣をつけるラウンドマストシステム」に厳格なWBAやIBF、緩やかなWBCだったり、「オープンスコアリングシステム」といって4回と8回に採点の途中経過を公開するシステムなど、団体ごとの特色がある。
しかし、これら採点方式は、あくまでも「システム(仕組み)」だけの話で、「公平公正正確」にジャッジされることは担保されていない。
なぜならば、それは、「ジャッジ技能や考え方にバラツキがある」からである。
通常、ボクシングのスコアをつける際の要素は、
1)有効打(有効なパンチ、クリーンヒットでダメージを与えさせる)
2)アグレッシブ(より攻撃的である方を優勢とする)
3)リングジェネラルシップ(巧みな試合運びによって主導権を支配している方を優勢とする)
4)ディフェンス(防御に長ける方を優勢とする)
5)スポーツマンシップ(正々堂々とした戦いをしている方を優勢とする)
となっています。
ただし、上記は一般論で、ちまたでは、例えばWBAなら「手数の優劣がスコアに大きく影響する」と言われています。
元バンタム級、フェザー級、スーパーフェザー級の3階級王者であった長谷川穂積氏が、村田選手の世界戦の敗戦について、
「極端に言えば、距離をとりながらシャドーをしていても勝つことがあるということだ」
と発言しています。
つまり、プロの目から見ても、WBAでは、「有効打より手数で優劣が付けられている」と思えるスコアの事例がありすぎるようです。
冒頭の報道に話題を戻しますが、WBA会長は、
◆村田選手に再戦を指示した
◆2人の審判を資格停止にした
という対応を取りました。
しかし、これでは、仮に再戦を村田選手がやって、チャンピオンになったとしても、「結果オーライ」であって、今回のような不可解判定がなくなる保証には、まったくなっていない対応策です。
つまり、「WBAの採点基準を明確にして、その採点基準をしっかり判定できる審判の技能レベルを継続的に担保するシステム」を確立しない限り、「審判によって採点にバラツキが多すぎる」→「判定結果が不可解」という事態は何も変化がないわけです。
今の時代「マネジメントシステムが確立していない組織は、外部から信用されない」のは、常識です。
ボクシングというスポーツの信頼性を高める意味でも、WBAはもちろん、他団体も含めて、「マネジメントシステムの確立と見直し」をしっかりやってほしいものだと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ543号より)
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