2017年4月28日付のメディ報道によると、経営再建中の東芝が進める半導体メモリー事業の入札は、「政府系ファンドの産業革新機構と台湾の鴻海の対決構造になっている」という。
記事によると、
◆政府系ファンドの産業革新機構が米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と共同で参加する見通しになった
◆狙いは、技術の国外流出を懸念する政府の意向を受け、最高買収額を提示しているとみられる台湾の鴻海精密工業に対抗すること
◆3月末に締め切った1次入札では、東芝と四日市工場を共同運営する米ウエスタン・デジタル(WD)、韓国の半導体大手SKハイニックス、台湾の電子機器受託製造大手「鴻海精密工業」、米半導体大手ブロードコムの4陣営が有力とされていた
◆鴻海は最高額の3兆円を提示したとみられるが、日本政府は軍事転用ができる半導体技術が中国などに流出することを強く懸念している
◆政府は、海外企業の出資を審査する外為法で買収にストップをかける用意もある
◆革新機構は政府のこうした意向を受け、5月に実施される2次入札に参加する方針を決めた
◆革新機構は日本企業による技術革新を支援することが任務のため、政府は当初、日本企業主体の買収を模索したが、企業は巨額投資に慎重で、苦肉の策で革新機構主体で応札する
という。
なんだか、記事を読んでいて、「東芝の今後は政府の意向で決まるのか?」という思いが強くなりました。
そもそも、東芝が買収したウエスチングハウスの巨大損失によって、「名門企業の東芝」がどんどん切り売りされていますが、これこそおかしな話です。
普通に考えたら、企業が経営再建する場合、「不採算部門を本体から切り離すこと」が基本です。
「儲かっているビジネスを売る」というのは、経営再建上、意味不明な行動です。
「売れるものから売る」は、その場しのぎの「自転車操業」で、仮に、その場を乗り切ったとしても、その先に未来はありません。
・上場廃止したくない
・半導体技術は海外流出させたくない
・原子力事業は継続する
・・・
など、そのすべてを成功裏に収める方法は、なかなかないです。
仮に、報道にあるように、政府系ファンドの産業革新機構が入札で落札したとして、東芝の半導体技術の海外流出は避けられ、東芝の上場廃止が免れたとしても、東芝本体に残る事業は、エレベーター、鉄道システム、エネルギー事業となり、成長事業は見当たりません。
それならいっそのこと、国が方針として、原子力事業を進めたいのであれば、(国民の理解はなかなか得られませんが)、東芝の原子力事業部を買い取って、政府系企業にすればいいのです。
個人的には、東芝は、民事再生法申請など法的整理に踏み切り、再上場を目指した方が、長い目で将来的には良いと思うのです。
それにしても、国策事業である原子力を抱えている以上、「政府のご意向を踏まえなければ経営再建策も独自に決められない」のが現実なのかもしれません。
5月に実施されるという2次入札の結果を見守りたいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ539号より)
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