「悪魔の証明」が森友学園の籠池理事長の証人喚問で話題になりました。
いまさらですが「悪魔の証明」をおさらいすると、
『ある事実が“全くない”というような、それを証明することが非常に困難な命題を証明すること』
をいいます。
森友学園の例でいえば、
「昭恵夫人が森友学園に100万円の寄付をした」
という事実の証明は、納付書や領収書、あるいは寄付金を渡す画像や映像等の証拠が見つかれば証明できます。
しかし
「昭恵夫人は森友学園に100万円の寄付をしていない」
という事実を証明するのは、事実上不可能です。
話は少しそれますが、コンサルティングの世界で「経営管理の仕組み改善(マネジメントシステム改善)」や「リスク対策」といった指導・アドバイスは、なかなか評価されにくいです。
その理由は、「悪魔の証明」と同じ理屈で、「問題にならなかったことは情報化されない」からです。
例えば、「事故発生防止対策として手順書の整備や教育」をある会社に指導したとします。
仮にここ数年間、その会社では事故が発生していない場合、指導した年度に事故が発生しなかったとしたら、事故発生対策指導の成果なのか、たまたまなのか分かりません。
つまり「事故が起きなかったことは指導の成果だ」ということを証明するのは難しいわけです。
経営管理の仕組み(マネジメントシステム)に関するコンサルティングをしていて「予防処置事例はありますか?」と聞くと、中小企業の場合、ほとんど事例が出てきません。
是正処置事例は、「不良品発生」、「クレーム発生」、「事故発生」、「設備故障発生」、「異常値発生」・・・というように「問題が発生」すれば、問題の除去はもちろん、問題の発生原因の究明と究明された問題の原因の除去は、まともな会社であれば、確実に実施して、再発を防ごうとするので、確実に事例が提示されます。
予防処置は、「起こり得る不適合又はその他の望ましくない起こり得る状況の原因を除去するための処置」ですから、「まだ発生してはいないが、もしかしたらこれから起こるかも知れない問題やその他の望ましくない状況に対して、その原因を調べ、起こる前にそれに手を打つこと」になるので、日々の業務に忙殺されると、「もしかしたらこれから起きるかも」については、「意識的に見つけよう、探そう」としない限り、なかなか実施されないので、「予防事例を見せてください→う~ん、ないです」ということになるのでしょう。
マネジメントシステムの国際規格(ISO規格)では、
『マネジメントシステムの計画を策定するときに、「内外の課題」や「利害関係者の要求事項」を考慮し、そのマネジメントシステムが意図した成果を達成することを確実にし、望ましくない影響を防止又は低減し、継続的改善を達成するために「取り組む必要があるリスク及び機会」を決定する』
という要求事項があります。
この要求事項で自社の体制を振り返った場合、「内外の課題や利害関係者の要求事項の変化に対応して望ましくない影響を防止または低減する対策を考慮しないとダメだな」と理解・自覚し、「少なくとも半年や1年単位で予防対策を実施する必要性はなかったのかを振り返っておこう」と意識的に検証することが重要なのでしょう。
予防処置は対策効果が見えにくい「悪魔の証明」のようなものですが、「問題が発生してしまった」らアウト。
「備えあれば憂いなし」の精神を目的意識的に実践することが大事なのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ534号より)
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