企業経営者や事務局の方と「アスクルの物流センター火災」(発生から鎮火まで約12日間)について、雑談する機会が最近増えました。

話していて感じるのは、

◆消防法を順守しているから安心

◆地元消防署の立ち入り検査で、特に指摘はされなかった(から大丈夫)

◆火災訓練をやっているから大丈夫

という傾向です。

 

 

あくまでも新聞情報しか知りませんが、アスクルの場合も、スプリンクラーの設置、自動火災報知機の設置、消火器の設置、指定可燃物の消防への届け出などといった点で現状、法律違反はなかったようです。 

 

 

※1 

環境負荷削減に取り組む施策の一つとして、倉庫の屋根に太陽光パネルが設置されていましたが、火災時の消火方法は確立されていないそうで、このパネルが消火活動に影響を与えた、という説もあるそうです。

※2

アスクル本社などに消防法違反がなかったかどうか、立ち入り捜査がその後、あったようです。

(※1、2はその後の状況)

 

 

私は年間で少なくとも50社弱の事業所に訪問しますが、多くの会社では、冒頭に挙げたような点は、しっかり守られています。

しかし、私が経験した事例では、

「危険物が指定数量の1/5を超えているのに立ち入り検査に来た消防には問題ないといわれた」

「事務所や倉庫の電気配線が断線していたり、タコ足配線になっている」

「可燃物となりえる書庫近傍に消火器がない」

といった「第三者的にはリスクが懸念される事象」はよく目にします。

 

 

きっと、日本の多くの会社の感覚が

◇創業以来、今まで問題が発生したことがない

◇消防がOKとした

◇実際に火災が発生する可能性の詳細なシチュエーションを想定していない

という感じのように思えます。

 

 

メディア情報だと、最近は、

「物流センターの数が増加」

「大規模倉庫の火災が10年で約3倍に増加」

しているそうです。

実際、シロウト目線ですが、

◇火災が発生した場合、消防車が入りにくい立地の倉庫

◇窓が少なく、消防車のホースを建物に引き込みにくい構造

◇スプリンクラー付近まで積まれた保管物により散水しにくい倉庫の置き場管理

◇防火扉前に常時置かれた荷物

といった状況はよく目にします。

 

 

消防のお墨付きや法律順守だけでは、「火災発生ゼロ」は保証されているわけでもなく、また「いざというとき」は、大規模な影響が出てしまうことも企業経営者は認識して、従業員の意識改革もしなければ、「まさか」に対する備えは不十分といえるでしょう。

 

 

話は変わりますが、アスクルは、今回の物流センターの火災で、近隣300世帯に一律「1万円の見舞金」を出したそうです。

法律的には、木上住宅の多い日本の場合「失火法」があり、「著しく注意を欠いた重過失が認められない限り、出火元の賠償責任を問わない」という法律があり、多くの場合、「消防法が守られていれば、賠償責任はない」と考えるのが妥当です。

しかし、アスクルは、見舞金を支払ったわけで、この点は評価したいです。

ただ、根本原因の追究と説明は、見舞金とは別問題で、しっかりやってもらいたいものです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ533号より)

 

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