2017220日付の読売新聞が、

「インターネット上の書き込みの削除要請を報酬を得て代行する業者の行為は、弁護士法違反(非弁行為)にあたるとして、依頼者の男性が業者に支払った約49万円の返還を求めた訴訟で、東京地裁(原克也裁判長)は20日、非弁行為と認め、業者に全額の返還を命じる判決を言い渡した」

と報じていました。

 

 

記事を読んだ瞬間、「えっ、何が非弁行為になるの??」と意味が分かりませんでした。

他社メディアが報じている本件記事を検索して、ちょっと状況が理解できました。

 

 

そもそも「弁護士法」では、

“弁護士以外が報酬目的で法律事務を行うのを非弁行為として禁止”

しています。

それは、その通りなのですが、この件で「非弁行為」として裁判で争われたのは、

「削除代行業者が、サイト運営会社の通報用フォームを使って、削除依頼者の名前でサイト運営会社に削除依頼をして、サイト運営会社が削除に応じた場合、依頼者から報酬を受け取っている点」

が弁護士法違反になるというのです。

 

 

法律論は、よくわかりませんが、弁護士法に詳しくない市民感情で単純に考えると、

「削除代行業者は、サイトの通報用フォームで削除を依頼しただけであり、なぜこれが、法律事務なの?」

ではないでしょうか?

 

 

判決は、

「フォームの入力は男性(削除依頼者)の人格権に基づく削除請求権の行使で、サイト運営者に削除義務という法律上の効果を発生させる」

したがって、

「削除代行業者が、男性から得た報酬を不当利得と認定した」

という判断である。

 

 

判決に対する感想ですが、

「サイト運営会社目線で判決を捉えれば、そうとも言えるのかもなぁ」

と思います。

 

 

判決理由となっている「削除義務という法律上の効果を発生させる」の部分ですが、おそらく、サイト運営会社側の「著作権」(著作権法)や「表現の自由」(憲法)を指しているのでしょう。

繰り返しになりますが、サイト運営会社側には、「著作権や表現の自由」があり、その権利を「放棄させる依頼業務」=「非弁行為」という考えなのでしょう。

 

 

裁判官は、「法律に基づき淡々と判断しただけです」ということであり、「この判決によって社会を変えてやろう」という野望は、本音は別にして建前上はないでしょう。

ただ、この判決によって「不当(かどうかの判断は難しいですが)に高額な料金を請求する削除代行業は、これまでの業務プロセスを見直す必要性」は出てくるでしょう。

 

 

どういうことかというと、自分に不都合なネット情報がある場合、多くの当事者は「削除してほしい」と思うはずです。

その場合の方法論として、一番の正攻法は「当事者自らサイト運営会社に削除依頼を出すこと」です。

 

 

しかし、当事者が、IT技術や知識に疎かったり、削除したい情報があふれていて削除依頼を誰かに請け負ってもらいたい場合は「専門業者」を利用するでしょう。

ただ、現実問題として、「削除代行業者」の多くは、特別なIT技術があるわけではありません。

当事者が自らサイト運営会社に削除依頼するのと同様で、削除依頼フォームで削除内容や理由を記入してサイト運営会社に申請しているだけです。

 

 

削除代行業者にノウハウがあるとすれば、

「どのような依頼の仕方をすればサイト運営会社が削除依頼に応じるか」

ということと、

「サイト運営会社が削除依頼に応じなかった場合の対応策」

でしょう。

 

 

「サイト運営会社が削除依頼に応じなかった場合の対応策」

ですが、こちらは、よくある手法としては、「似たようなサイトを立ち上げて、当事者にとって都合の悪い情報を検索しにくくする」というようなやり方です。

結果的に、当事者が「消したい情報」はネット上には、サイト運営会社が削除するか、サイトを閉鎖するか、サイト運営会社が廃業するか、という状況にならない限り、「情報は残存している」のですが、検索エンジンのアルゴリズムに長けている専門業者であれば、そうした対抗措置が実施できるわけで、これは「ノウハウ」といえるでしょう。

 

 

つまり、「削除代行会社」のビジネスモデルとして、

1)サイト運営会社への記事削除依頼方法を当事者にアドバイスする

→コンサルティング料を取るかどうかは業者次第。業者が代行するのは非弁行為のためできない。 

→現在の「削除代行」を継続するなら弁護士と契約して実施

2)サイト運営会社が記事削除依頼に応じない場合、検索しにくくする手段を実施する

→こちらで、主たる報酬を得るというビジネスモデル

というように変更する必要があるでしょう。

 

 

ちなみに、ネット検索で「削除代行」といった検索ワードで調べると、いくつもの削除代行会社が見つかります。

以前、調べてみたことがありますが、この裁判を起こした男性は、業者に49万円を支払ったようですが、感覚的には「相場の価格」です。

削除代行会社の「仕組み」について、さらに調べていくと、「専門業者だからと言って特別なこと」をするわけではなく、基本的には、「サイト運営側に削除依頼」するだけなんですよね。

削除代行会社のビジネスの仕組みがわかると、「かなり高額な請負業務で自分でやればいいじゃん」と気づきます。

 

 

この判決によって、削除依頼について100万以上支払った人は、弁護士を立てて判例に基づき返還請求をすれば、弁護士報酬を支払っても、元が取れるかもしれません。

しかし、50万以下だと、仮に裁判に勝っても、どっこいどっこいかもしれないですね。

 

 

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