組織が提供する製品/サービスの質をマネジメントする国際規格に「ISO9001」があります。

ISO」と聞くと、「文書が増える」「記録が増える」「仕組みを作っても形骸化する」と悪いイメージを持つ人の方が多いかもしれません。

 

 

月並みですが、ある程度の組織規模になって、趣向や嗜好、ものの見方や考え方、価値観が違う人の仕事を上手く束ねるとなると、やはり、何らかのルールが必要になります。

そうなると、「その会社のルールは何を基に作ればいいのか?」ということになりますが、基本は「成功体験」や「経験則でしょう。

 

 

大企業が資本を投下して立ち上げた組織なら別ですが、創業社長が起業した会社なら「うちの会社は、会社経営を始める前に、会社のルールを先に作って業務を開始しました」という組織は、まずないでしょう。

つまり、殆どの会社は、最低限の常識的ルールだけを決めて、会社経営が成り立つ状態になり(成功体験)、人が増えて、ミスやクレーム情報を共有化(経験則)して、新たなルール作りをしていくという感じだと思います。

 

 

しかし、それだけだと、組織として管理すべきアイテムに漏れが生じるので、世の中の成功し続けている組織に共通するアイテムを仕組みとして国際規格化し、それを組織運営のバイブルにするわけです。

つまり、「ISO規格」は、経営の理想像を誰かが勝手に作り上げたわけではなく、「成功し成長する組織」をモデルに規格は作られているのです。

 

 

さて、本題ですが、ISO9001を活用して会社のルールを整備しても、どうしても、実際の経営とISOの経営にズレが生じてしまったのが、1987年(ISO9001の初版が制定された年)からの問題点でした。

そこで、規格は定期的に改定される(19871994200020082015年)のですが、2015年版のコンセプトのひとつに、「事業との統合」があります。

簡単に言えば、

ISOのための手順書や記録を作るのではなく、また、言葉を無理矢理、ISO用語に合わせるのではなく、会社で使っている馴染みのある言葉や文書、記録を使ってやっていることをベースに不足する概念や管理文書類を足して(いわゆるGAP分析をして)運営していきましょう」

ということです。

(※“簡単に言えば”、といいながら長くなってしまいましたが)

 

 

ただ、そうはいっても「ISO9001」は、認証規格なので、どうしても、「利害関係者目線で仕組みを構築・運営する」という部分は出てきてしまうのは否めません。

また、第三者認証を受けるとなると、説明しやすい記録を作ってしまった方が楽だ、という側面もあります。

要は、「うちの会社は、経営会議が、規格でいうマネジメントレビュー会議です」といっても、経営会議の議事録では、要求事項で規定されたことが議論されているか、わかりにくいし、会社として外部にはあまり見せたくない情報もあったりすれば、「ISOで要求された項目だけの記録を作った方が楽」という発想がわくのは無理もないことです。

 

 

感覚的には、中小企業だと、ISO9001規格の要求事項の中で「内部監査」は、もともと存在しない仕組みであるケースが多いですが、その他の要求事項は、完ぺきではなく、有効に機能しているか否かは別にして、780点の出来栄えでという組織が殆どではないでしょうか。

 

 

いまからISO9001を新規に導入する、あるいは、すでに導入していて2015年版に切り替える組織は念頭にして上手く組織に取り込んで活用して欲しいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ515号より)

 

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