すでにご存知の通り、次期アメリカ大統領が、大方の予想に反して、政治経験ゼロで、不動産王のドナルド・トランプ氏に決まりました。
今回の大統領選は、「接戦」とはいわれていたものの、なんだかんだで、「クリントン氏が制するだろう」と言われていました。
世論調査では、差が詰められることがあっても、常にクリントン氏が、トランプ氏をリードしていただけに、この「トランプ氏の逆転勝利の理由」について、多くのメディアや識者が論じています。
個人的なシロウト論調ですが、選挙戦全体としては、既存政治に辟易し、格差や閉塞感を感じていて、「トランプ氏なら劇的に今を変えてくれるだろう」という期待感が、トランプ氏の勝利の大きな要素を占めるでしょう。
それにしても、選挙戦終盤は、トランプ氏のセクハラ問題で、クリントン氏の優勢が伝えられましたが、クリントン氏の「メール問題」でFBIの再捜査が入ったことが、結果的には、クリントン氏敗北の直接の原因となったと私は考えます。
再捜査で、FBIは「訴追に相当しない」としないとの判断をしましたが、元大統領で夫のビル・クリントン氏がFBI長官と個別に会っていたことも、アメリカ国民の多くに不信感を与えたと思います。
さて、この「メール問題」ですが、「何が問題か?」といえば、国務長官時代に国家機密を扱う立場なのに、私的メールアカウントを使用していたことで、国家機密が漏えいしたのではないか、ということが一義的には問題です。
ただ、「問題ではある、でも、現状、漏えいした事実はないし、実害が無いのなら、そこまで問われる問題なの?」と内心感じている日本人は、意外と多いと思います。
しかし、情報漏えいにきびしい欧米諸国では、「公務で指摘メールを使用したこと」は、日本人が考えるよりもとてつもなく重要な大問題なのです。
私はサラリーマン時代、外資系企業に勤務していたことがありますが、私のいた日本の事務所ではありませんが、別の海外事務所で、服務規程違反を起こした人が、仕事中にボスの部屋に呼ばれ、その場でクビを言い渡され、自分のデスクに戻ることなくビルから退去を命じられたことがありました。
日本人の感覚なら、クビになっても、自分のデスクに戻り、私物を整理して、所属部署の人に挨拶するぐらいの猶予は与えられるでしょう。
むしろ「引継ぎをしろよ」とクビが決まっていても、数日間の勤務を命じられるかもしれません。
しかし、欧米社会では、リスクを一番に考えます。
クビになった人間は、デスクに戻れば、ネットを通じて情報漏えいがあるかもしれません。
また、私物のパソコンやUSBメモリに企業の機密情報を保存されかねません。
だから、「ただちに出ていけ」なのです。
それにしても、クリントン氏は、痛いミスを犯しました。
対抗馬が清廉潔白な候補者ならば、セクハラ問題で、クリントン氏の逃げ切り勝利だったでしょうけれど、トランプ氏だからセクハラは大問題ですが、セクハラは彼なら、さもありなんの出来事ですし、それよりも彼なら何かやってくれるだろう、という期待感の方が上回りダメージは少なかったのでしょう。
黒人初の大統領から女性初の大統領というストーリーにはなりませんでしたが、就任時の最年長大統領であるトランプ氏の今後に注目して4年間を過ごしたいと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ515号より)
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