マネジメントシステムの認証制度というのがある。
私のコラムをお読みになっている方なら、よくご存知の話ですが、ざっくりどういったものか、説明すると、企業が原材料や役務サービスを他社から購買する場合、継続的な取引を望むとしたら、製品やサービスの質が安定して提供されることが担保されていなければ、取引先として、不安である。
また、今の時代、業を行うにあたって関連する法規制はもちろん、個人情報、環境対策などについても安心感がある企業でなければ、取引先として心配である。
そこで、経営方針や目標、契約確認、設計や製造、サービス提供、不具合があった場合の措置、顧客満足度、利害関係者とのコミュニケーション・・・などのプロセスが確立されて安心できる企業でないと、取引先として選定されないようになった。
そこで、登場したのが、マネジメントシステムの認証制度である。
認証された会社であれば、取引上、相手先に求めるべき業務プロセスが確立して運用されているから、安心感があるのである。
このことは、なにも「企業間取引」だけでなく「一般消費者メインの取引」においても同様なので、昔は、電機部品や自動車部品メーカーと言ったいわゆる「下請け企業」に対して要求されたが、今では、ホテルやスーパー、飲食店といった一般消費者向けの会社もマネジメントシステムの認証を受けるようになった。
マネジメントシステム認証が、他の「お墨付きを与える監査」と少し異なるのは、どちらかというと「未来を保証する点」である。
例えば、会計監査であれば、2014年度とか、2015年度といったように、会計監査により保証されるのは、監査時期以前の適切性である。
マネジメントシステム認証の場合は、今後の取引に対しての安心感なので、審査の中でも、「例えば、こういう事態が起きた時はどうされるシステムですか?」といった質問が飛ぶ。
わかりやすい例でいえば、緊急事態の対応措置。
過去に火災や油漏れによる土壌汚染の発生の有無だけでなく、業務プロセスの中で、発生しうるプロセスを特定し、発生しないように予防対策をとるシステムや万が一、発生した場合に備えて、日常、どんな教育や訓練をしているのか、設備投資を今後考えているのか、といった点をお聞きして、システムとして確立しているのかどうかを、チェックするのが「マネジメントシステム認証」である。
もちろん、実績のある過去の記録も確認するが、それは、聞き取りをした経営者や従業員の「絵に描いた餅でない」こと、および今後も同様にマネジメントシステムが維持され、改善されていくか、を確認するための事例として、実施記録を見ているに過ぎない。
したがって、重視しているのは、やはり、「業務プロセスが維持されてきたか」だけでなく「今後も継続的な発展・向上を遂げていくか」という点にある。
しかし、実際、認証審査をはたで見ていると、「結果ありき」で「OK」としている審査員が、まだまだ多い。
例えば、一部の製品や事業所をを認証範囲から対象外として除外している、あるいは、業務上の想定され得るリスクや機会を組織があまり認識していない、といったような状況の場合、マネジメントシステムに認証審査での聞き取り手法としては、「なぜ、除外しているのか、除外の正当性はなぜか」や「リスクや機会として想定する必要はないのか」といった点を、組織に「気づきを与える」といった点を含めてインタビューすべきである。
けれども、「業務量が少ない」、「事例が現状ほとんどない」といった「結果オーライ」として、質問すらしない審査員が多いのだ。
こうした審査員の特徴としては「その審査組織の業務に精通している」方が多い。
要は「この組織には適用しなくても影響はないだろう」という「思い込み」である。
しかし、「組織の未来を顧客に代わって保証する」という審査員の意義を考えれば、常に言い続け、「うちの業態でいうとこういうことが該当する可能性があるんだ」と「気づきを与えさせる」ことも大事である。
悲しいが、この手の発想の審査員と議論しても、話はかみ合わない。
おそらく
「顧客をはじめ、今後お客さまとなる取引先や利害関係者に代わって未来を保証するのがマネジメントシステム認証の本質」
という認識が欠落しているのだろう。
この原因のひとつには、「新規で認証を受ける組織が少ない」という現状もあるだろう。
新規で認証を受ける際には「そもそも論」を組織と議論するが、認証されている組織の審査を担当している場合は、前例を踏襲して、そもそも論の話はあまりインタビューしないし、その重要性を審査員も認識していない。
基本的には、審査員がその点を理解しなければ駄目であるが、業界に精通していればいるほど、当たり前の部分やきっとこうだろう、の部分を聞かないので、困ったものである。
また、認証を受ける組織側も、会計や消防の「検査」のように「結果としてできていればOK」の「結果オーライシステム」ではないという点を認識して、こうした審査の場合は、アンケートにバチバチ「結果しか聞かれなかった」と書いて欲しいものである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ477号より)
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