(その1からの続き)

話が、ちょっと進みますが、先日、家電メーカーに部品共有している会社の経営者の方と話していたら、「環境マネジメントシステムの認証はメーカーから要求されるんですが、品質は特に要求されないんですが、品質の認証を継続する意味があるのかな、と社内で議論になっています」という話を聞いた。

 

 

私の予想であるが、家電メーカーにとって、自分たちが取引をしている工場の品質は担保されていて当然で、今、一番気にしているのは、環境配慮の製品作りと環境法規制を順守した組織運営が一番の関心事なのでしょう。

つまり、品質は確保されていてあたり前だから、取引条件として明確に出てくるのは、環境ISOなのでしょう。

ただ、裏を返せば、「品質ISOの認証を受けていなくても品質は担保されるだろう」と発注者は捉えているわけである。

 

 

品質と環境のISO規格は、20159月に改訂されました。

例えば、改訂された品質ISOの主な特徴は、別のところで詳細に述べていますが、ざっくりいえば、

◇組織の状況の理解

◇組織内外の課題の決定

◇課題に基づくリスクと機会の決定

◇リーダーシップ

◇プロセスアプローチ

などになります。

 

 

要は、「組織の事業活動そのものが品質ISOだ」ということになります。

つまり、「狭義の製品品質は、現場(営業や設計、製造、サービス提供部門など)の管理で決まるのだから、ISO規格に基づく組織管理は、現場責任者にまかせておけばよい」という発想では2015年版規格は、組織で運用できないし、認証審査でも、事業とマネジメントシステムとの乖離を見透かされ、経営者自らが、マネジメントシステムを主導していないことがバレバレになってしまうわけです。

 

 

こうなってくると、2015年にニュースとなったマンション建設の杭打ちデータの偽装や免震ゴムの検査データ偽装などの問題が発覚したようなケースは、「経営陣にも責任あり」と捉えることができると思います。

従来のISO認証では、このようなケースは、マネジメントシステム上の問題なのか、仮に問題があったのであれば、その原因を究明し、対策を打てば、認証自体は取り消しにならない、というのが通例です。

しかし、個人的には、このようなケースは、今後、ISO認証の世界から一度、ご退場(一時停止、あるいは認証取り消し)いただいた方がいいと思うのです。

「仕組みの話と不祥事は別」という発想では、ISO認証の信頼性が弱まります。

 

 

最近の株価をみていたら、自動式電気釜を最初に製品化した日本を代表する老舗大企業であるT社の株価が200円になっていました。

もちろん、粉飾まがいの決算処理の影響が大きいわけですが、こうした場合には、現状、ISOは無力です。

ただ、個人的には、株式上場審査過程における審査項目は、ISOの監査で要求していることと同様の項目が多くあります。

したがって、私は、上場基準にISO認証を加え、T社のようなケースは、ISO認証は即刻取り消し、上場も廃止、という仕組みに証券取引所はしてくべきではないかと思います。

 

 

上場企業へのISOマネジメントシステム規格の導入案は一例ですが、社会における組織の信頼を担保する手段として、では、他に何かあるのか?と問えば、「何もない」のが現実です。

ISO規格の組織への導入」が一番適切で的確な方法論ではないかと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ474号より)

 

 

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