2016年8月11日(日本時間)は、リオ五輪で、内村航平選手が体操男子団体個人総合で金メダルを大逆転勝利でつかんだ。
多く国民を感動させたことは言うまでもない。
私もこの金メダルに触発されて、「あり得ないことが起きた」「奇跡の勝利」といった内容で、この金メダルに関するコラムを書いた。
少し冷静になって、振り返ってみると、やはり、注目すべき点は、
「内村選手はなぜ鉄棒で高得点が出せたのか」
「銀メダルとなったオレグ・ベルニャエフ選手の鉄棒の得点はなぜ伸び悩んだのか」
の2点である。
この2つの点について調べてみました。
《元体操世界選手権日本代表の植松鉱治氏の視点》
◆内村選手とベルニャエフ選手の得点と内訳
・内村選手 15・800=Dスコア7・1+Eスコア8・7
・ベルニャエフ選手 14・800=Dスコア6・5+Eスコア8・3
(Dスコア=演技価値点、Eスコア=実施点。10点から減点)
・ベルニャエフ選手には減点対象のミスはいくつもあった
(例:ひねり技の後に逆手でバーを持ったときの角度が低かった、離れ技のあとの大車輪にいくときに肘が大きく曲がっていた、着地が乱れた)
・元々ベルニャエフ選手の演技構成は、最大でも15.1~15.2点だから14.8は妥当
《体操男子を陰で支えてきた指導者 城間晃氏の視点》
◆鉄棒での逆転は、実力を出し切った内村選手と、出し切れなかった選手の差
◆鉄棒の演技構成が大きなカギだった
◆内村選手の鉄棒は屈身コバチ、カッシーナ、コールマンとバーの上で宙返りをともなう華麗な手放し技で点数を稼ぐ構成
◆ベルニャエフ選手は、ひねり技で点数を稼ぐ構成
(内村選手の構成は派手で、ベルニャエフ選手の構成は堅実)
◆ベルニャエフ選手の構成は、簡単に見えて、軸がぶれたり、車輪の角度が狂ったりするリスクの高い神経を使う技
◆内村選手の構成は、手放し技が多く、タイミングさえ間違えなければ成功する動作(技)
(要は、車輪を正確にぐるぐるまわってさえいればいい技で、落下さえしなければ減点リスクが低い構成)
おふたりの専門家の視点を知って、うーん、なるほど、と思いました。
加えて言えば、内村選手は、5種目終了時点で、大差がついていたことでの開き直り(美しい演技ができれば結果は負けても本望)と猛練習に裏付けられた自分を信じることができた絶対の自信が、「奇跡に見える最高の演技」を生んだわけだ。
私たちは、一見、あり得ないことが起きると、すぐに「奇跡だ」と言ってしまう。
感覚論だけでなく、データ的(結果確率的)にもレアケースであれば、余計に「奇跡だ」と思う。しかし、奇跡と思えることも、こうしてロジカルに分析してみれば、「必然」なのだ。
内村選手は勝つべくして勝ったし、やっぱり奇跡は必然的な要素や影響が殆どなのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ502号より)
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