リオデジャネイロ五輪の体操男子個人総合決勝で、あり得ないことが起きた。
世界選手権6連覇中で、前回五輪のロンドン五輪の個人総合チャンピオンの内村航平選手が、見事、オリンピック2連覇を果たした。
五輪での連覇は史上4人目、1968年メキシコ五輪、1972年ミュンヘン五輪を制した加藤沢男選手以来44年ぶりだという。
下馬評では、メディアも、解説者も、誰もが、内村選手の金メダルは確実と予想し、盛り上がっていた。
予選では2位であったが、これは鉄棒での落下があったから2位なんだ、と多くの人が思っていたが、ふたを開けてみると、予選1位のオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)選手の実力はホンモノだった。
予選1~6位の第一グループは、ゆか→あん馬→つり輪→跳馬→平行棒→鉄棒の順番で演技するのだが、演技するたびに、ベルニャエフ選手との差は広がっていくばかり。
平行棒が終わった時点では、ベルニャエふ選手との差は0.901となり、個人的には、もうだめだ、と思った。
なぜなら、内村選手の鉄棒の演技の構成内容から、どんなに頑張っても16点がでれば奇跡、ふつうに演技したら15.6~7点ぐらいだろうと予想したからだ。
それに対して、ベルニャエフ選手は、予選では15.1点程度出しており、この日の勢いから、シロウト的に、悪くても14.8点はでるだろうから、内村選手の逆転は無理で、ベルニャエフ選手が逃げ切るだろう、と思ったからだ。
しかし、内村選手は予定の演技を最高にこなし、着地もピタッととめて、15.8点。
えー、すごい。
でも、14.81以上出せば逆転されちゃうから、内村選手の逆転は無理だろうなぁと。
ベルニャエフ選手の鉄棒演技を見ても、難度は内村選手より落ちるが、目立ったミスが無く、こりゃダメだと。
けれども、ベルニャエフ選手の点は14.8。
0.1点の差で内村選手の大逆転勝利。
あり得ないことが起きました。
内村選手の試合後のインタビューを聞くと、最後の鉄棒は、着地をピタッと決めて、美しい自分の中での最高の演技ができれば、これで負けても仕方がないと。
予選で落下しているだけに、難度を落として、確実に「2位狙い」という考えも凡人は考えてしまうが、納得の演技をすることだけに自分の能力を信じて集中したことが奇跡を生み出したのだろう。
それにしても、世界の競技力向上はすごいです。
今回の内村選手の得点合計は92.365点。
この点数は、2015年の世界選手権の92.332点を上回っている。
ここ数年の世界選手権は、2位との差が1点以上開いていて、演技のスペシャリスト化が進んでいるから、内村選手が今のレベルをキープできるなら、まだまだ敵なし、と私は思っていた。
けれども、今後は、ベルニャエフ選手のように、6種目すべてが、15点半ばがでるようなレベルでなければ、個人総合での優勝はもちろん、メダルも厳しいだろう。
鉄棒で落下した加藤選手のインタビューコメントも印象深い。
3年前の世界選手権の個人総合から、第1グループで演技をしていると、みんなから置いて行かれたな、と感じていたそうだ。
確かに、加藤選手は、団体戦のためにリスクの少ない構成を今までしてきた。
しかし、今回のリオ五輪で、難度を上げた構成にしなければ、世界と戦えない、と実感したようだ。
来年の世界選手権は、団体戦が無い。
個人総合がリスクを恐れない構成で、ハイレベルな争いになることは間違いない。
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