行動マネジメント研究所所長で「まんがで身につく続ける技術」という著書がある石田淳氏によれば、世界最多安打を記録したイチロー選手の行動は、行動マネジメントの視点で見ると、非常に理にかなっているという。
石田氏によれば、「行動科学マネジメントでは、どんな行動にも必ず理由がある」と考えるそうで、すべての行動は次の3つの要素「ABCモデル」から成り立っていると定義づけられているそうです。
ABCモデルとは、
A 先行条件(〜だから=行動の直前条件)
B 行動 (する)
C 結果条件(その結果、〜になる=行動の直後条件)
というモデルで、
たとえば、「ごはんを食べる」という行動であれば、
A「お腹が空いたから」
B「ごはんを食べる」
C「その結果、お腹が満たされる」
という要素が考えられます。
あたりまえのことですが、「行動」とはAの「先行条件」があって発生する。
したがって、「ある行動が発生しやすい先行条件を整えれば、行動をコントロールでき、望む結果を手に入れられる」ということです。
これをイチロー選手に当てはめると、
「A」起床してからバッターボックスに入るまでの一連の「先行条件」を整え
「B」バッティングをするという「行動」をとることで
「C」安打という「結果」が最も出やすい
ということになり、このことを感覚として理解しているのでしょう。
つまり「A」の「先行条件」を最高(最適化)することで、最高(最適)のパフォーマンスが生まれることが経験的に、イチロー選手はわかっているのです。
イチロー選手の場合の「最高の先行条件」は、いわゆる「ルーティンワーク」と言われるプロセスで、我々によく伝わってきている先行条件例としては、
◇毎朝カレーを食べる
◇起床後、自宅の器具でトレーニング(初動付加トレーニング)を行う
◇ナイターの場合は午後2時前後にクラブハウスに入る
◇ナイターの場合は午後3時ごろに練習用のユニフォームに着替えてウォーミングアップをする
◇バッターボックスへの入り方、構える際のバットの回し方、その際の袖口をさわる所作
といった先行条件です。
このように、イチロー選手が継続的に結果を出すために、最適な「先行条件」を常に整えて、準備をおこたらないのでしょう。
これは「ヒットを打つ」という「結果条件」を最適にする「先行条件」ですが、私がすごいな、と思うのは、高いモチベーションです。
イチロー選手は、決して、自らの設定している目標を話しません。
これは、イチロー選手のスタイルであり、ポリシーであり、矜持でしょう。
ただ、何かを達成するたびに、「設定していた目標のひとつだった」というような表現を使って記者会見等で語っていることから、想像すると、イチロー選手の頭の中では、いくつもの「目標」が設定されていることがうかがい知れます。
会話の端々に出る「50歳まで現役」というのは、冗談でなく本当なのでしょう。
きっと「50歳まで現役」という結果を出すための「先行条件」も経験の中で見つけて、修正を加え、淡々と日々継続していると思いますが、その「モチベーションの源泉はなんなんだろう?」と思います。
凡人なら、イチロー選手ほどの実績ならば、「お金も稼いだし、野球史上に大きな足跡も残した、やることはやった」と一線を退きたくなるものです。
イチロー選手は、いままで「人にばかげていると笑われてきた」人生だったと、日米通算安打が4257安打になった日の記者会見で語った。
それに対して「なにくそ」とは誰もが思うが、モチベーションの源泉となって何十年も続けられるかというと、無理だろう。
高いモチベーションを維持するための先行条件はなんなんだろう?と思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ495号より)
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