報道で何度耳にしても、「かわいそうな話だ」と思ってしまう事件が、広島県府中町立府中緑ケ丘中3年の男子生徒の自殺である。
ご存知の方が多いニュースであるが、簡単に経緯を振り返ると、
◇2013年10月6日に広島市内のコンビニで万引き事件が発生
◇事件は日曜日で、出勤していた教諭が店に出向き、2人の保護者を呼んで謝罪させた
◇教諭は翌7日、生徒指導担当の教諭に口頭だけで報告した
◇生徒指導担当の教諭はパソコンに入力する際に名前を間違え、自殺した生徒の氏名を記入した
◇2015年11月中旬に学校側は(万引き歴があり)志望校への推薦はできないと伝えた
◇2015年12月8日に三者面談に生徒があらわれず、自宅で自殺していた
という流れである。
問題点は、多々ある。
まず、万引き発生後に、口頭で生徒指導の教諭に報告がされたため、誤った名前をパソコンデータに記載した点である。
学校の内規では、「生徒、保護者、担任、学年主任、生徒指導主事の5者面談」や「別室指導、奉仕活動などの指導」をすることになっていたが、それを実施していない。
実施していれば、データ入力が間違っていたことに気づいたであろう。
また、学校側の報告書によると、誤記された未修正の資料が会議に何度も提出されていたのに、そのまま放置されていたという。
学校側の説明だと、万引きがあった2日後の、2013年10月8日の生徒指導推進委員会に、生徒指導教諭から提出された資料に「氏名の誤りがあること」を他の教諭が指摘した。
しかし、各教員は手元の紙の資料をそれぞれ修正したが、パソコンにある元データは放置された。
その後、週1回開かれる生徒指導推進委員会には、毎回未修正の資料が提出されていながら、誤りを指摘する教諭は誰一人いなかったという。
生徒指導推進委員会に関しては、毎日新聞の報道(2016年3月10日)によると、議事録さえ取られていなかったという。
せっかく、万引き発生直後の委員会で、氏名の誤りが他の教諭から指摘されていたにもかかわらず、元データが修正される仕組みがなかったことが大問題である。
このレベルの管理では、逆に、警察などから表彰など良い評価を受けた生徒がいても、その履歴が入力されなかったり、別の生徒と誤って記録されても気づかないことになる。
そもそも、生徒指導推進委員会では、議事録も取られず、5者面談を実施しなくても、誰も「おかしい」と指摘していなかった時点で、生徒指導に役立てられていない意味のない会議である。
また、高校入試の校長推薦を出す判断基準としてきた非行歴の調査対象を「3年時のみ」としてきたが、2014年11月になって「1〜3年時」に広げた。
そうなると、今まで以上に、生徒指導推進委員会の元データは重要な書類となる。
こんなずさんな管理で記録されたデータをもとに誤った進路指導をされて自殺した生徒は浮かばれない。
ネットの中では、直接進路指導した女性教師の顔写真が晒され、非難を浴びているが、生徒指導担当教諭、生徒指導推進会議に出席していた教諭、校長にも多大な責任がある。
また、生徒の進路を決める資料や記録の管理方法の重要性について、教育委員会、学校は、猛省して、管理体制を見直し確立しなければ、誤った進路指導は、再発するだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ480号より)
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