2016年1月に世間を賑わせたニュースのひとつに「ココイチが廃棄したビーフカツが不正転売された事件」があった。
振り返ると、産業廃棄物処理業者による不正転売の第一報がココイチ(壱番屋)から出たのは2016年1月13日。
ココイチによれば、12日に、ココイチのフランチャイジー店舗に勤務するパート従業員がスーパーでの買い物中に販売されるはずのない冷凍の「ビーフカツ」を発見し、そのパート従業員はココイチ本部に写メで通報した。
ココイチがその後スーパーに調査に行き製造番号を調べると、異物混入(ナイロン成分等)の恐れがある廃棄(合計4万609枚)したはずのビーフカツ。
廃棄物処理業者は、ダイコーしかココイチは使用していなかったことから、ココイチは経営者を問い詰めて、横流しを認めさせ、そして、警察に通報した、という経緯である。
その後、報道情報を追いかけると、ココイチの対応は早く、ビーフカツ以外の食品廃棄物の流出の可能性を世間に呼びかけ、 製品を廃棄する場合は、そのままの形での廃棄は行わず、包材から取り出して堆肥の原料に混ぜたりする、という再発防止策を取ることを決めた。
また、仮に製品のまま捨てる場合は、処理過程に必ず社員が立ち会うことをルールにしたのだ。
廃棄物処理法的には、委託している廃棄物処分業者を1年に1回は現地確認することが努力義務になっており、愛知県条例では、確か訪問が求められていた。
しかし、優良事業者認定された廃棄物処理業者には訪問しなくても良いことになっており、ダイコーは、当時、優良事業者だったので、ココイチは訪問していなかったのだ。
この事件を受けて、環境省は、2016年2月16日に、「食品廃棄物の不適正な転売事案の再発防止のための環境省の対応について(案)」を発表した。
この「環境省案」によると、再発防止のポイントは、
◆電子マニフェストの機能強化を図るため、不正を検知できる情報処理システムの導入検討
◆廃棄物処理業者について、抜き打ちの立入検査等による監視体制の強化と処理情報の徹底した情報公開
◆排出事業者に対して、食品廃棄物を廃棄するにあたり、そのままの商品として転売できない形で廃棄することの要請
となっている。
結構、厄介なのが、「排出事業者は、食品廃棄物を廃棄する際にそのまま商品として転売できない形での廃棄」である。
ココイチは、包材から出し堆肥に混ぜたり、泥をつけたりする、という措置を取っているが、大規模食品工場の場合は、この「転売できない形での廃棄」は、相当なコスト増になるらしい。
私が訪問することの多いジャムやゼリー工場でも、素人目には「良品」としかみえない不良品(廃棄品)が顧客や市場のニーズを鑑み大量に発生する。
一番いい廃棄方法は、包材から出して、堆肥業者などに売却しリサイクルをすることであるが、堆肥業者からは、包材から出すことを条件にされていて、小分けジャムの場合、包材から出す作業を手作業にすると、専用の担当者を1人つけたぐらいではぜんぜん間に合わない。
かといって、破袋(はたい)する機械を入れるとなると、設備投資もバカにならない。
ダイコーの不正転売事件は、食品製造事業者のコスト増にもつながっており、余波はめちゃめちゃ大きい。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ493号より)
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