流通業界の神様といわれたセブン&アイ・ホールディングの会長兼最高経営責任者だった鈴木敏文氏が、名誉顧問に就任したという。
2016年4月7日に鈴木氏が主導した人事案が否決され「突然の退任」を表明した鈴木氏であったが、名誉顧問という肩書きで会社に残ったのだ。
セブン&アイ・ホールディングスとセブン-イレブン・ジャパンの旧体制と新体制の肩書を比較すると、
(旧体制) (新体制)
セブン&アイ・ホールディングス
鈴木会長兼最高経営責任者 名誉顧問
村田社長兼最高執行責任者 顧問
後藤常務執行役員 副社長
井坂取締役 社長
- 古屋取締役
セブン-イレブン・ジャパン
鈴木会長兼最高責任者 退任
井坂社長兼最高執行責任者 取締役
- 古屋社長
鈴木氏は「退任」したのに、なぜ「名誉顧問」として井坂新体制で会社に残ったのか?
私なりの解釈としては、
◆井坂社長が、加盟店オーナーの求心力低下を避けたかった
◆取引先企業からの安心・信頼感の低下を避けたかった
◆セブン銀行やセブンカフェなど新サービスを開発したカリスマの労をねぎらった
◆鈴木氏にポストを与えることで鈴木一派との社内分裂を避けたかった
◆内紛が起きた会社という社会や消費者に与えたイメージを低減させたかった
というのが本音であろう。
しかし、井坂社長は、鈴木氏を残すことで発生する「影響力」を考慮し、「執務室」は本社ビルに置かない「管理策」を講じるという。
やはり、「名誉顧問」となり「職務権限」が限定されても、「鈴木氏の存在自体がリスクにもなる」と考えたのだろう。
一般論として、中小企業やオーナー企業で、取締役ではない「顧問」や「相談役」というポストを設置するケースがある。
「職務上の責任権限はない名誉職です」
「うちの顧問や相談役は無給の単なる肩書きです」
といっても、就任する人の前職や経歴により「存在自体が脅威や機会」になることは十分ある。
会社パンフレットの組織図やウェブサイトになんらかの形で名前があれば、それだけで、安心して取引を継続する人がいれば、その一方、恐怖や脅威を感じ業務上の仕事のやりにくさ、につながることもある。
そういう観点で考えると、セブン&アイ・ホールディングスの井坂新社長は、鈴木氏を完全退任させるのもリスクおよび機会、残すのもリスクおよび機会と捉え、「名誉顧問」「本社ビルに勤務させない」という対応を取ったということが言えるのでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ492号より)
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