仲間内ばかりで交流していると「能力が衰える」とよく言われる。
以前、テレビで心理学者だか、言語学者だかが話していたが、ある人の1週間の中で使う会話の語彙は、非常に限られているという。
細かい数字を忘れてしまったが、イメージ的には、例えば、その人が今までに知識として持っている言葉が、仮に1万語だったとしたら、1週間、あるいは、1ヶ月といった期間の中で使用する言葉は、2千とか3千程度とかかなり限定的なのだという。
つまり、本を読んだりすることで、知識として獲得してきた言葉がたくさんあったとしても、日常生活で使用する部分は、かなり限られているのだ。
したがって、せっかく知識としてインプットしても、同じような環境の中でずーっと過ごしていると、使わない言葉はどんどん忘れていくわけだ。
「異業種の人と会話をすることは重要」とか「旅をすることで異文化にぶれることは大事」とか、「好奇心旺盛でいるべき」といったことがよく言われるが、要は、そういう活動を積極的に意識的にしないと、使用言語はどんどん減少し、減少することで、視野が狭くなり、異なる価値観を理解できなくなる。
仲間内で交流していれば、新しい言葉を覚えなくても生活できるし、何よりも楽だから、ぬるま湯につかった状態となり、「脳みそが刺激を受ける機会」が減り、新しいことを吸収する能力も衰え、やがて、能力は落ちていく、というメカニズムなんじゃないかと思う。
著名なコンサルタントでもある日本総合研究所の田坂広志氏の本(「知性を磨く「スーパージェネラリスト」の時代」)が以下のようなことを言っています。
(以下、引用)
「人間の能力は、「100」の能力を持った人間が「90」の能力で仕事に取り組んでいると、その仕事をたとえ「1000時間」行ったとしても、確実に力は衰えていく。
もし、「100」の能力を持った人間が、自信の能力を高めていきたいと思うならば、「110」や「120」の能力が求められる仕事に集中して取り組む時間を、たとえ、「毎週数時間」でよいから持たなければならない。
逆に、その「毎週数時間」を持ち続けるならば、確実に能力は高まっていく。
著者(注:田坂氏)の大学院講義でのささやかな経験は、著者のような普通の人間でも、毎週3時間、精神の集中が求められる修業を続けると、歳を重ねても精神のスタミナやエネルギーが高まっていくことを教えてくれる。
その意味で、ここでいう「修業」とは、実は特殊なことではなく、素朴なことである。
自分の能力を少し超えたレベルの仕事に集中するという時間を、定期的に、継続的に数年間というオーダーで持つ。」
(引用ここまで)
私が、先に記述したことも、田坂氏の主張とおそらく同じようなことなのだと思います。
話は少し逸れて、「ランニング」の世界の話になってしまいますが、五輪マラソンのメダリストである有森裕子さんや高橋尚子さんを育てた小出義男監督によれば、「マラソンの能力を向上させたければ、毎日ジョギングをするより、2日休んでもいいから、15キロなり、20キロなり、ゼイハァするスピードでペース走をすれば必ず伸びる」といいます。
これも、前記した田坂氏やわたしの話と類似する理屈です。
ひとことで言えば、
「人は、居心地のよい環境だけで生活し、刺激を与え続けることを怠れば、能力は確実に退化していく」
ということなのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ443号より)
【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7つの思考法』(パブラボ刊)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)