2016年5月13日付の日本経済新聞が、
(以下引用)
『政府は13日、温暖化ガスを2050年に現在より80%削減することなどを盛り込んだ「地球温暖化対策計画」を閣議決定した。15年末に採択された温暖化対策の新枠組み「パリ協定」を踏まえ、省エネ対策や再生可能エネルギーの積極導入、革新的な技術開発の促進なども取り上げた。環境省は今夏から長期目標を実現するための具体策の検討を始める。』
(引用ここまで)
と報じていました。
早速、環境省のウェブサイトにアクセスしてみると、PDFファイルで「地球温暖化対策計画」がアップされていました。
A4で179ページにおよぶ膨大な文書です。
この計画では、
◇温暖化ガスを20年に05年比3.8%以上減の短期目標、30年に13年比26%減という中期目標が明記されている
◇目標の達成に向けて、家庭や企業から出る二酸化炭素(CO2)を4割減らす
◇炭素税や国内排出量取引制度にも言及
などが明記されています。
http://www.env.go.jp/press/files/jp/102816.pdf
注目すべきは、
「原発を低炭素エネルギーとして活用する」
という記述です。
この地球温暖化対策計画書を見る限り、国は、原発を地球温暖化対策には欠かせないエネルギーとして位置づけているわけです。
2011年3月11日の東日本大震災や2016年4月16日の熊本地震により、原発の是非について日本国内では意見は分かれている最中ですが、国の方針は、やはり「原発ありき」の環境政策なのです。
ネットで世論をチェックする限り、現在、原発反対派は、この閣議決定された地球温暖化対策計画に対して、わーわー騒ぎ立てていませんが、そのうち、野党が国会で質問するかもしれないですね。
組織の「問題解決」を支援する経営コンサルタントとして、この地球温暖化対策計画で興味深いのは、
◆(企業の)事業活動における環境への配慮促進(P.50)
◆地方公共団体が講ずべき措置等に関する基本事項(P.57)
です。
「事業活動における環境への配慮の促進」については、
『・・・略・・・、ISO14001や中堅・中小企業向けエコアクション21などPDCAサイクルを備えた環境マネジメントシステムの普及を進め、環境経営の実効性を高めていくとともに、企業における従業員の教育を促すことで、事業活動における更なる環境配慮の促進を図る』
「地方公共団体が講ずべき措置等に関する基本事項」については、
『(注記14で)例えば、エネルギーマネジメントシステムISO50001、環境マネジメントシステムISO14001、エコアクション21 の認証を取得し、またはこれらに範をとった自らの環境マネジメントシステムを構築・運用することが望ましい』
といったことが明記されていることです。
自治体や企業が、閣議決定された地球温暖化対策に取り組まなければ、「罰則」が課されるわけではありませんが、コンプライアンス経営を考える上では、この温暖化対策計画を無視することはできないわけで、そうなると、PDCAサイクルを備えた環境マネジメントシステムの導入は不可避となるわけです。
でも、自治体や多くの中小企業を調達先や委託先、請負先として取引している大手企業が「発注条件など」に環境マネジメントシステムの導入を要求(発注基準)しなければ、大多数の中小企業が自主的に取り組むことは難しく、国が出したこの対策計画の該当記述は、絵に描いた餅になってしまうでしょうね。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ490号より)
【好評発売中!】
『ちょロジ ニュースで学ぶ7つの思考法』(パブラボ刊)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434176552/bloglogcom-22/ref=nosim/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)