◇シェアが低い
◇他社と比較すると企業規模が小さい
◇他社を凌駕する特許技術が無い
◇性能が他社と同等基準である
◇組織特性としてクレーム隠しなど不祥事が過去にあった
・・・
外部監査や内部監査を実施するにあたって、対象となる組織が、上記のような状況だったら、監査の重要領域はどこになるでしょうか。
いうまでもなく、「設計・開発部門」になるでしょう。
さらに「設計・開発部門のどのあたりに狙いを定めるべきか」となると、
「外部に公表している性能データは正確なのか?」
なるであろう。
もうお気づきと思いますが、上記のモデル組織は、三菱自動車です。
2016年5月12日に、三菱自動車の益子修会長と日産自動車のカルロス・ゴーン社長が記者会見し、資本業務提携の実現に向けて協議に入ると発表した。
日産は、三菱自動車が第三者割当増資で新たに新株を発行して、発行済み株式の34%を取得するそうで、発行される新株は5億662万株で、出資額は2370億円(発行価格は1株あたり468.52円)になるという。
記者会見で、
日産のゴーン社長は、
◇戦略的アライアンスで両社にウィンウィン
◇大きなシナジー効果と成長が生める
◇三菱自動車のブランドを守り、尊重する
三菱自動車の益子会長は、
◇資本提携の話はかねてからあったが、時期が早まった
◇資本提携は、経営の信頼、安定に重要なもの
◇すべてのステークホルダーに喜んでもらえる
と語っていた。
結果論からの意見のようで恐縮であるが、気になったのは、益子会長の
「日産自動車との資本提携の話は以前からあって、今回の燃費データ不正問題でその時期が早まった」
という発言だ。
益子会長は、三菱自動車リコール隠し事件発生後に三菱商事から社長として招かれ、経営の立て直しを図った評価の高い名経営者である。
今回の燃費不正事件以前から、日産との資本提携の話は当然あったであろう。
しかし、冒頭の事例に戻るが、上記のような状況であれば、賢い経営陣であれば、
「経営資源の乏しい当社が、なぜ、他社と同等レベルの燃費を実現できているのか?」
「過去の自社の黒歴史で問題とされた隠ぺい体質は本当に改善されたのか」
と言った点を、もっと内部監査等を通じて内部調査できたはずだ。
結果的には、組織内部で「おかしい」と感じる前に、日産から「本当に公表している燃費データが出ているんですか?」と問い合わせされて、初めてちゃんと調査して、不正が発覚したわけだ。
つまり、三菱自動車の内部監査は効果的に機能していなかったわけである。
仮に、日産自動車サイドとして、三菱自動車の軽自動車の開発や生産機能が魅力的で、資本参加を望んでいたならば、三菱自動車が窮地に陥る以前に資本提携を三菱自動車主導で日産と進めれば、拒否権が発動できる34%の株式を取得するためには、もっと多額の出資をさせられたかもしれないし、出資額が今回発表された2370億程度しか日産が出せなかったとしたら、株式の保有比率は、拒否権が発動できる1/3には達しなかっただろう。
あくまでも結果論からの考察ではあるが、マスメディアの評価は、今回の日産との資本提携を三菱自動車にとっては「渡りに船」と評価しているが、私は、三菱自動車の経営陣がもっと早く手を打っていれば、燃費不正の規模は縮小できたはずだし、燃費以外の軽自動車の開発戦略が出せたかもしれないし、企業価値もいまより低下することはなかったと思う。
私のイメージとしては、企業価値が下がった今が「経営参加する絶好のタイミング」と日産自動車側が、燃費不正問題をわかっていた上で、それをきっかけにした「三菱自動車の日産自動車の傘下入り&グループ販売台数世界第4位」戦略という「日産にとっての渡りに船」だった気がしてならない。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ489号より)
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